脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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電気事業法施行規則等の一部改正――賠償や廃炉費用を新電力や消費者に転嫁するな
はじめに
 この文章は「電気事業法施行規則等の一部改正」パブコメ(締め切りは8月26日)に送ったものです。趣旨は変えずに読みやすいよう手を入れています。
 今回のパブコメは、改正規則、省令等の新旧対象条文が示されているだけです。参考資料としても託送料金認可手続図などが2枚あるだけ。改正規則の内容を説明したものでさえありません。改正の内容が何なのか意図的にわかりにくくしていますし、提出される意見も「制度への反対」を封じるような作りになっています。

 規則や省令の改正では、その前提として制度の意義や目的等について規定する条文はありません。一般法とは違います。パブコメにかけられた規則の上位法は電気事業法です。
 電気事業法の中では一切規定していない原発の賠償負担金や廃炉費用を、法律の下にある施行規則や経産省令(経産大臣が決める)に規定しているのです。従来存在していなかった原発事故の賠償負担金や廃炉費用が、突如として電気事業法にさえ規定せずに、一方的に決められていこうとしています。国会での審議(議決)さえありません。
 これに対して反対の声と共に、問題点を指摘したパブコメを送りました。条文ごとに批判しているので、ちょっと長くなりました。

1 対象となる「賠償金」とは何か
 第45条の21の2「賠償負担金の回収等」について、対象となる「賠償金」とは何かをあらかじめ明確にすべきだ。
 条文には『一般送配電事業者は、当該通知に従い、賠償負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。』『2 一般送配電事業者は、第45条の21の4第1項の通知に従い、各原子力発電事業者ごとに賠償負担金相当金を払い渡さなければならない。』との規定がある。

 この条文には「東京電力」とは一言も書かれていないから、今後生ずる原発事故については原賠法に基づく保険金の支払があってもなくても賠償金を送電事業者を通じて消費者から「回収」できることになっている。
 このような想定は、そもそも東電改革や電力システム改革の議論でも確認されていないはずである。条文の書き方に大きな問題があると言わなければならない。

 原発事故が起こる度に、オートマチックに損害賠償金を消費者から取れるとしたら、重大なモラルハザード(倫理の欠如)を引き起こすことになる。
 百歩譲って、このような性格の資金を未来にわたり負担させることを求める法令を制定するならば、起こりえる事故の規模と必要となる損害賠償金額があらかじめ想定されていなければならない(予見可能性・法的安定性)。原子力事業者でもない一般送配電事業者に、最悪の原子力災害の見積もりができるわけがない。アンフェアである。

 その程度や規模が、社会通念上も電力システム上も許容できる範囲であるかどうか、慎重かつ広範な国民的議論を行って決めるべきものである。
 福島第一原発事故では、今日までに様々な形態で既に消費者が巨額の負担をしている。今後発生しうる原子力災害は、福島第一原発事故の規模を遙かに超えることもあり得る。その際に青天井で国民に負担を認める法令を作ることなど、認めることはできない。

 例えば、原発事故1回につき消費増税1%を30年間(累計約75兆円)と言われて、それでも原発を選択する者などあろうか。納得も理解も得られない制度は撤回すべきである。

2 「回収」の言葉は資金の性格を誤魔化している
 法令では賠償金相当額を徴収して原子力事業者に譲渡することを「賠償負担金の回収等」としていることに大きな問題がある。
 この賠償金の性格は、明らかに原子力事業者として負担または用意すべき原子力発電事業にかかる必要経費だ。その経費計上(積み立て・準備)を怠った東京電力に対して資金提供をすることは資産譲渡になり、法人税の課税対象にするべきものである。

 すなわち「回収」とは本来「徴収」であり、「払い渡し」は「譲渡」である。
 これらについては、財産譲渡と同じ性格であるから、譲渡を受ける事業者については「法人税課税」の課税所得金額に含めるべきである。

3 オートマチックな承認行為をしてはならない
 第45条の21の3「賠償負担金の額の承認」について、オートマチックな承認行為をしてはならない。
 条文では『原子力発電事業を営む原子力発電事業者は、その運用する原子力発電工作物及び廃止した原子力発電工作物に係る原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成23年3月31日以前に原価として算定することができなかったものを、一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするときは、回収しようとする資金の額について、5年ごとに、経済産業大臣の承認を受けなければならない。』と規定している。

 国の認可がなければ「回収」できない規定のように見えるが、実際のところは電力会社が保有する原発を運転してきた限り、認可されないことはない規定ぶりである。
 つまり、この条文の規定では、国による何の規制もかかっていないに等しい。条文を制定する意義がないのである。

 第2項には『5年間に回収しようとする賠償負担金の額が、賠償負担金の総額及び第1項の承認を受けた賠償負担金の額に係る回収見込額に照らし、適正かつ明確に定められていること。』などと規定している。逆に問いたいが、適正かつ明確ではない場合とは、いったいどんな場合を想定しているのか。

 このような無意味な規定ではなく、原子力事業者が賠償金を請求するのが正しいことなのかどうか、事故発生時ごとに第三者機関で審査を行うほうがよほど実効性があるから、そのような方式にすべきである。

4 情報は公開しなければならない
 第45条の21の4「各一般送配電事業者が回収すべき賠償負担金の額等の通知」では情報公開を義務づけよ。
 この条文に規定した金額については、その全ての通知内容は官報に掲載して公示すべきである。

 個別の金額も含めて全ての情報が開示されなければ、その正当性を第三者が確認するこができない。情報公開は必須である。
 この条文に決定内容について公示すべきことを明記することが必要である。

5 廃炉費用の転嫁に反対
 第45条の21の5「廃炉円滑化負担金の回収等」について、条文は『一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。』『2 一般送配電事業者は、第45条の21の7第1項の通知に従い、各特定原子力発電事業者ごとに廃炉円滑化負担金相当金を払い渡さなければならない。』と規定している。

 「廃炉円滑化負担金」とは何か。また、規定がないと廃炉が円滑に進まないとする根拠は一体どこにあるのか。
 まず、原子力発電設備は原子力事業者が自らの電力事業に供するために自らが資金を投じて建設し、運営しているのであり、それに対して国は立地自治体等への交付金を「電源三法」により徴収し、それを原資にして交付しているように、極めて高い公共性をも有している。

 これらが早期廃炉になるからといって、なぜ更なる支援をしなければならないのか、全く理解できない。
 このことは、他の電力設備を運用する電力会社に対して差別的処遇となる。早期に廃止しなければならない設備を再生可能エネルギーについて行っても、何ら保証はない。再生可能エネルギーを全量買い取る義務を一般電気事業者に課していても、その費用は電力料金の徴収時に別途回収しているのだから、一般電気事業者は負担をしていない。「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は毎月の電気料金に含まれている。

 そのうえ原発の廃炉費用まで負担しなくてもよいとしたら、一般電気事業者には原子力を推進するに際し何のリスクもないこととなる。廃炉費用は原子力事業者が自ら支出すべきものであり、他に転嫁してはならない。

 また、早期廃炉をすればするほど国民負担が増加する仕組みになっている。早期廃炉の中には設備の欠陥や立地不適当となるような原因で廃炉になるものもある。廃炉積立金不足なのならば、密封管理を長期に行いつつ、遅延廃炉の方法で必要な額を確保するまで積み立てを続ければよいだけである。その場合は当然電力会社の負担であるが、安全管理のための費用は発電費用に算入できることにすれば、過重な負担にはならない。

 これまで原発で巨額の利益を上げてきたうえ、理由も問わずに、使用できなくなった設備のために新たな「賦課金」の「回収」を義務づける規定は撤回すべきだ。

6 行政の公平の原則からも「廃炉円滑化負担金」は認められない
 第45条の21の6「廃炉円滑化負担金の額の承認」には『原子力発電工作物の廃止を円滑に実施するために必要な資金を一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするときは、回収しようとする資金の額について、経済産業大臣の承認を受けなければならない。』と規定しているが、その内容は単に廃炉に要する費用の明細を計上させているに過ぎない。廃炉に至る経過、その責任の所在等は何も問われないため、早期廃炉原発は、資金を求めて申請すれば、経産大臣により自動的に認可される仕組みとなっている。

 行政の制度で、これは一般送配電事業者に対する義務的負担金の性格を有している。このような性格の賦課金を制定し徴収するためには、高い公共性と他に代替のできない唯一無二の制度であることを示さなければならない。
 しかし電力システム改革や東電1F委員会のいずれの議論でも、疑問を呈する委員の発言があったり、明確に反対を表明する意見がパブリックコメントで圧倒的多数寄せられるなど、とても国民の納得が得られている制度とは言えない。

 国会での審議・議決すら経ないで、巨額の経済的負担を原子力発電事業者以外に転嫁させようとすることなど到底認められない。「ゆがめられた行政」と言わなければならない。

7 情報公開を求める
 第45条の21の7「各一般送配電事業者が回収すべき廃炉円滑化負担金の額等の通知」については、このような規定を設けるよりも、全ての申請書類は決定する前に官報に公示して情報を公開すると共に、第三者委員会において調査・審議を行うべきである。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.268(2017年9月24日発行)より。

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2017東電株主総会の記
 1206名(出席株主数)、3時間4分。2011年は9282名、6時間。たった6年しか経っていないのに、福島の苦しみは幾重にも重なったまま、むしろ重篤になった部分さえあるのに……。株主の関心は薄れた? あきらめた? 株を売却してしまった? 広い代々木第一体育館に寂しい空席が広がりました。

 昨年は、会場前に「日本の原発は安全」「原発を再稼働して料金値下げ」のプラカードを手に、大挙して現れた団体“しきしま会”は現れず、代わりに“二の橋倶楽部”なる幟の面々。「原発再稼働」のプラカードを手にし、配布する豪華パンフレットの内容(放射能の正しい知識を持とう)も同じなので、結局お仲間なのでしょう。人数は半減の約20名。

 当方は、たんぽぽ舎の皆様の多数の応援を頂いたり、駆けつけて下さる方もいたり、グリーンピースの独自パフォーマンスもあり、心強いチラシ配りができました。数は力を実感!!

 10:00開会。30分間の事業報告後、議案審議。議長は、「提案株主は補足説明がある場合は3分以内で」と促しますが、私たちは「趣旨説明」と明言し対抗。まずは、原発再稼働株主の提案から開始です。不愉快なことに、「脱原発を主張する中には公安警察の調べでは過激派中核派等のメンバーがいる」との発言がありました。まさに、イメージ操作そのもの! 私たちも、各趣旨説明の頭に「共謀罪の対象にならない一般人です」と強調しました。

 4号議案から12号議案まで、提案の概略と賛成割合は以下の通りです。
▼4号議案:東京電力パワーグリットの売却(賛成2.17%)
▼5号議案:柏崎刈羽原子力発電所の減損会計適用(2.26%)
▼6号議案:福島第二原発と柏崎刈羽原発を廃炉と廃棄物管理のための研究施設とする(2.26%)
▼7号議案:監査委員会の健全化(7.81%)
▼8号議案:原子力事故時の避難者受け入れ周辺自治体との安全協定(2.27%)
▼9号議案:原子力事故を想定した避難訓練の実施(2.26%)
▼10号議案:原発災害保養基金の創設(2.26%)
▼11号議案:福島原子力発電所勤務者に対する保養の提供(2.21%)
▼12号議案:柏崎刈羽原子力発電所の原子炉圧力容器の健全性の検証(2.26%)

 今年の特長は、ほとんどヤジがなかったことです。例年の発言妨害とも言えるヤジがないのは静粛でよいと言えばよいのですが、何か気味が悪いような……。およそ40分間、お陰で粛々と進行しました。

 次は、事前質問109問に対する山口副社長からの回答。20分の見込みと言い、実際は23分間だったので、事前に随分練習したようです。長時間に及び、ここで途中退場者が多いと担当者が愚痴を言っているところです。私たちは、質問項目だけでもいいから、スクリーンに投影等工夫して欲しいと例年申し入れしています。残念ですが、改善はなされませんでした。

 いよいよ質疑応答。原発再稼働株主の修正動議を含めて、12名が発言しました。なんと! そのうち12分の10が脱原発関連発言だったのです。おまけに、今までほとんど指名されなかった提案株主席からも指名され、數土会長(議長)から最後のプレゼント?と思うような指名率でした。

 更に數土会長からビックリ発言「福島事故処理関連に総額およそ22兆円は驚天動地、未曾有宇の数字。だが、責任を貫徹するため自分を捨てても挑戦するしかない。無理を承知でやるしかない」と。最後だから正直に発言したのでしょうか、ここでも変化を実感しました。

 他にも印象的な発言がありました。「放射線は怖くない、人体実験に応ずるボランティア募集を!」というとんでも株主に増田常務「放射線は正しく怖がることが大切」。「他国からの飛翔体への対策は?」に対し、姉川常務「国と国が争わないことが大切。貧困がないようにすることも」。

 全ての株主提案は否決され、新取締役13名が登壇し1:05終了。その後、27日に福島に挨拶に行った小早川新社長「双葉町民も早く帰還をしていただきたい」、記者「双葉町は避難解除されていません」、新社長「北部に……」記者「北部は時間制限付き立ち入り許可地域です」このやりとりが、新執行部の全てを象徴しているような?

 株主の皆様、沢山出席しましょう! そして沢山発言しましょう! 少しでもこんな執行部に緊張感を持ってもらいましょう!!(K)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.267(2017年7月9日発行)より。


株主運動ニュース読者の皆さまにお詫び
株主運動ニュースNo.267を7月9日に発送いたしましたが、
同封予定のチラシの一部を入れ忘れたまま封じてしまったものがありました。

そのため、一度開封してチラシを封入し、封緘印として株主運動の印を押しています。

たいへん見苦しい状態になり、誠に申し訳ございません。
どうかご容赦のほど、お願い申し上げます。

脱原発・東電株主運動 事務局

6月23日(金)東京電力株主総会 当日の動きについて
●東京電力第93回定時株主総会
6月23日(金)10:00~(受付開始9:00)
会場:国立代々木競技場 第一体育館(JR山手線原宿駅、東京メトロ千代田線明治神宮前駅徒歩5分)

●来場者へのアピール
総会当日、脱原発・東電株主運動では、開会前に9時頃から原宿門内で「今総会の見どころは?」チラシの配布と、プラカードによるアピールをします。
早めに来場され、お手伝いいただけると嬉しいです。プラカードは用意します。
もちろんオリジナルのプラカードをご持参いただいても構いません。

●株主提案席
例年通り、会場内の前方中央付近に32席設けられます。
この席には、議案の趣旨説明者らが着席する予定です。
提案株主は誰でも座れますので、着席希望の方は、会場係員に提案株主であることを告げてください。案内されます。
ただし、9時40分までに着席していないと他の株主に解放されますので、着席希望の方はお早めにご来場、ご着席ください。

●総会後は報告・反省会へもご参加を
総会終了後、原宿門付近で簡単な小集会をします。
その後、別会場で報告会&反省会を行います。ぜひご参加ください。
場所:千駄ヶ谷区民会館(03-3402-7854、渋谷区神宮前1-1-10)
*総会会場から徒歩12分程度。
総会終了1時間後ぐらいから開始。時間は総会後の小集会で告知します。

*当日の動きについて変更があるときは随時ブログに掲載しますのでご覧ください。

福島第二原発のゆくえ――福島への負担を強いる原発
  2017年3月8日、民進党は福島第二原発を廃炉にする法案を提出した。
 いつまでも宙ぶらりんのまま放置されていても、法的には東電が何も決めなければ先に進まないとして、原子炉等規制法に廃炉を規定する改正案という形式を取っている。
 具体的には、福島第二原発を特定原子力発電所と指定できるよう改正した上で「法施行後2年以内に適合性審査の申請がなされなかったときは、設置許可が取り消され、廃炉が確定する」との主旨の条文を追加する。
 確かに法で縛れば廃炉にすることは可能だ。しかし、国にその気があれば、廃炉は実現していた。
 東電は実質国営企業である。株式の過半数を有するのは原子力損害賠償・廃炉等支援機構だから、国の方針により廃炉を決めるのは容易い。つまり福島県や県内自治体の廃炉決議を無視し、現在に至るも福島第二原発を廃炉にしていないのは国の意志でもある。
 東電は繰り返し、福島第二のあり方について次のように説明している。
 「今後の扱いについては広く社会の皆さまのご意見や国のエネルギー政策の動向、廃炉作業のバックアップとしての役割として機能していることを含め、置かれている様々な状況を踏まえてしっかりと検討していかなければならないと考えています。」
 廃炉のバックアップ機能を果たすことと、実用発電用原発として存在することは、実は両立しない。バックアップ機能は発電所として稼働したら出来なくなる。資機材や人員を発電所にとって不必要に持つことになり、安全性を大きく損なう。発電所の片手間に廃炉作業が出来るはずもない。また、バックアップ機能の中には実規模試験などを含むだろうから、ますます不可能だ。
 国のエネルギー政策の動向を見るとは、東電によると「国が案を示したエネルギー需給の姿を実現する施策や原子力事業環境に関する政策などのことについて指しており、当社としては、こうした国が示すエネルギー需給の姿も含めて、総合的に勘案していく必要がある」という。これは再稼動を想定しているように思われる。
 福島県も県内市町村も第二原発の再稼動を認めるなどということは想定不可能だから、誰が見ても東電の福島第二については、どうにでも取れる表現で時間を稼いでいると思われる。
 その背景には、廃炉にかかる費用がある。第二原発の総見積額の概算2801億円に対し、引当金として積み立てた額は1913億円で、まだ888億円不足している。最も少ない1号機で160億円が未引当額だというから、年間計上額8億円に対して、20年かかることになる。
 原発の廃炉引当金は当初50年間で引き当てる計画だったから、2016年現在で運転開始34年(1982年運転開始)では不足することになる。
 ただし、福島第二を廃炉にしただけで、ただちに債務超過になることはない。
損得勘定
 福島第二原発は動かすあてもないが、福島第一原発のように「特定原子力発電所」として指定されているわけでもない。「特定原子力発電所」とは、原子炉等規制法第64条の2に規定される原発。重大事故を起こした後に「保安又は特定核燃料物質の防護につき特別の措置を要する施設」として、指定下原子力施設を言う。
 第二原発も過酷事故一歩手前まで行ったが、炉心溶融などは免れたため、特定原子力発電所に指定されていない。
 その福島第二原発を現状のままで維持するには莫大な費用がかかる。
 使用済燃料プールに入っている燃料を冷却する費用、原子炉等規制法に規定される原発である限り求められる、安全保護設備を維持管理するための費用、維持管理に当たる人件費などで年間1600億円以上もかかっている。一方で生み出す利益はゼロである。
 廃炉にしても、これらの費用がゼロになるわけではない。当面は同程度の費用はかかり続けるだろう。しかし費用を減らす対策は、運転を前提としている原発と同様の安全性を要求される現状よりは実施しやすい。例えば、燃料プールから使用済燃料を全部乾式貯蔵に移せば、原子炉とプールを冷却するシステムの全てがメンテナンス不要になるし、監視も必要なくなる。
 一方、「廃炉引当金が足りない」などの経済的理由が廃炉決定を遅らせているのではなさそうである。金額としては大きいが、全部を廃炉にしても単年度の利益を超えるほどではない。
 この背景には国の意向が強く働いていることは確かだ。
柏崎刈羽原発の損得勘定
 原発の費用は2014年度5486億円、2015年度6063億円と、有価証券報告書に記載されている。この巨額の費用が東電の経営を圧迫しているのは間違いない。柏崎刈羽原発だけで、この5年間で6800億円に達する。

 1~4号機のある「荒浜側」は、地盤が特に悪く、地震により深い場所まで液状化する可能性が否定できない。そのため巨額の費用を投じて作った防潮堤の基礎杭が液状化に伴う「側方流動」(液化した地盤が流れる現象)で折れてしまう可能性がある。
 これでは防潮堤が津波により倒壊してしまう。
 日本で初めて造った免震重要棟は、地震想定の誤りから新規制基準には適合しないことが2014年からわかっていたのに、東電は規制委にも県にも明確にしてこなかったため、田中委員長や米山知事から厳しく批判された。
 費用をかけてもかけても、再稼動どころか、動かせる可能性が消滅していく原発が、柏崎刈羽原発である。
 原発を全部廃炉にしたとしても、すぐにゼロになるわけではないが、なるべく費用をかけずに安全に保つ方法はある。
 停止している原発で最も危険なものは使用済燃料であり、それを冷却するプールの健全性と冷却システムの安定性がキーになる。しかし燃料を乾式容器に入れておけば、冷却は自然循環の空冷でよく、動力に頼らなくても冷却が保てる。また、容器の健全性は外観の観察で保てる。安全性と安定性の実績は米国で実証されている。地震と津波対策は米国にはほとんどないので日本独自の対策が必要だが、難しいことではない。
 再稼動をしないことを前提条件として、乾式貯蔵について地元と真摯に話し合う必要がある。(Y)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.265(2017年5月14日発行)より。

福島事故損害賠償訴訟 前橋地裁判決、東電と国の責任を認める
 1 東京電力は津波を予知したことを認めた!
 3月17日、前橋地方裁判所は、全国で提起されている東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の賠償を求める集団訴訟の中で初めての判決を言い渡しました。
 この判決は、福島第一原発事故の原因について詳細に事実を認定し、東電と国の責任について判断を示しています。
 判決は、原子力損害賠償法3条にもとづく東電の無過失責任を認め、民法709条の責任については請求ができないとして否定しました。
 しかし、判決は、2002年7月に政府の地震調査研究推進本部が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(いわゆる推本長期評価)について、この長期評価は、地震学者の見解を最大公約数的にまとめたものであり、考慮しなければならない合理的なものであること、長期評価が波源モデルを示していなくとも一般的な手法であったなどとして、東京電力に、原発の非常用電源設備を浸水させる程度の津波の到来について予見可能性があったことを認めました。
 さらに、2008年5月の段階で、東電設計の実施した津波シミュレーションの結果(いわゆる15.7メートルの津波シミュレーション)が東電の社内で共有されたことから、会社としてこのような津波を予知したと判断しています。この点は、東電役員の民事・刑事責任についても決定的な事実であり、株主代表訴訟や刑事裁判の判断にも影響を与えるきわめて重大な判断だといえます。
 そして、災害を回避するためにも、給気ルーバをかさ上げして、開口部最下端の位置を上げること、配電盤と空冷式非常用ディーゼルを建屋の上階に設置する、非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば事故は発生しなかったとして、事故の回避の可能性があったことを認めました。
 このように、事故の原因と東電の過失については、原告の主張をほぼ認める判決となっています。東京電力の不法行為責任は否定されましたが、以上のような過失の存在が、慰謝料の考慮要素とされています。
2 国の国家賠償責任を認める
 さらに、国についても、2006年9月に耐震バックチェックが開始され、同年10月には津波対策を急ぐよう電力各社に原子力安全保安院が指示した事実を重視し、それから約1年が経過した2007年8月頃の時点で規制権限を行使し、津波対策の改善を命令すべきであったとし、その権限の不行使についての違法性を認めました。この点も、きわめて重要です。
 これまで国は、原子力を推進してきた道義的な責任にもとづいて、様々な支援策を講じてきましたが、法的な責任はないという立場を貫いてきました。特に、国は、本年3月末をもって区域外避難者への無償の住宅提供を打ち切るという帰還政策を進めてきました。
 この事故による被害には、事故による避難も含まれます。国に法的責任があるとされた以上、このような避難者切り捨ての政策を続けることは許されません。直ちに帰還促進政策を見直さなければなりません。
3 損害の評価については不十分
 このように、事故の原因と法的責任の有無の判断については、判決は正当な判断を示しましたが、原告の皆さんに対する損害の評価については、きわめて低い水準しか認めませんでした。
 この事故は、地域で生活してきた住民の、生活と生業を根こそぎ奪い、地域で積み重ねられてきた人生そのものを破壊しました。ところが、判決は、避難区域内の原告ですら、既払金を除いて、最高額が350万円、最低額は75万円の賠償です。認定された被害額が少額であったため既払額を超えず棄却となった原告が72名中53名にも及びました。
 このような判決結果は、損害の正確な認定にもとづくものとは到底認められません。裁判所が、この事故の被害の深刻さ、とりわけ「ふるさとの喪失」という損害の深層をどこまで正確に理解していたのか、疑問に思います。
 原子力損害賠償審査会の定めた中間指針の基準は、行政による早期・最低限の救済策であり、それ以上の損害があれば、賠償されるべきことは、判決も認めています。
 にもかかわらず、正確な損害の評価をせず、あるべき賠償水準を認めなかった判決は、国の政策・財政に配慮して司法の役割を放棄したものといわざるをえません。続く全国の判決ではこの点の見直しを図ることが重大な課題となりました。
4 区域外避難について
 さらに、判決は、区域外避難者を避難区域内からの避難者と区別し、一層低い賠償しか認めませんでした。この点も、非常に残念です。
 区域外の原告らは、目に見えない放射線による健康への影響に不安を感じ、自らと子どもたちの安全を確保するために、その生活を犠牲にして避難をしたのです。
 福島では、公表されているだけで200人近い子どもに甲状腺ガンの発生が報告されています。リスクが科学的に否定できないものである限り、予防原則に従って行動することは合理的な判断・行動として認められるべきです。
 このことは、2012年に成立した子ども被災者支援法でも明確に確認されていたことです。この点の判断も、今後の先例としてはならないものだと思います。
海渡雄一(脱原発弁護団全国連絡会 共同代表)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.264(2017年4月9日発行)より。
2017株主提案 私たちの議案にご賛同ください(賛同の受付は終了しました)
 みなさま、今年も株主総会の時期が来ました。
 毎年、多くの時間と労力を費やして提案を考え提出の準備をしても、総会であっさりと否決されることに心が折れそうになります。
 しかし、昨年も再稼働を進める株主提案が出され、株主総会の会場で、事実に基づかないデマや嘘を声高に主張する人々を目にすると、脱原発の思いを伝え続けていく重要性を感じます。

 今年2月には、柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震強度が新規制基準に満たないことが発覚、しかも2014年には我が社は分かっていながら隠し、新潟県に再稼働への承認を迫っていたのです。福島原発事故を起こしておきながら反省はポーズだけ。国民の税金で生かされている我が社には、まだまだ厳しい監視の目が外からも内からも必要です。

 私たちの声を強めるためには、ひとりでも多くの株主のご賛同が必要です。

 本年6月の株主総会にご欠席の場合は、東電より送付されます議決権行使は白紙委任(議決権行使書を白紙で投函することは原発推進につながります)または棄権されることなく、ぜひとも私たち脱原発・東電株主運動が提案する株主提案にご賛同くださいますよう、お願い申しあげます。
2017年3月20日
脱原発・東電株主運動事務局
〒216-8691 川崎市郵便事業株式会社宮前支店 私書箱19号

※2017年の脱原発株主提案議案への賛同を募るため、2017年3月20日に発送された書類より抜粋。
賛同の受付は終了しました。たくさんのご賛同ありがとうございました。
 株主の方は総会に出席して、あるいは開催通知の返送時に、ぜひ私たちの株主提案に賛成してください。

東電の株主の方は、私たちの株主提案にぜひご賛同ください。
 下記のリンクから、提案株主になるための書類をダウンロードできます。
 参考書類(1)~(3)をよく読んで、送付書類(1)~(3)をお送りください。
 申し訳ありませんが、送料、手数料等はご負担ください。
 送付書類(1)と(2)は3月29日(水)~4月14日(金)の間に郵送または提出、
 送付書類(3)は4月24日(月)必着です。
 詳しくは株主提案マニュアルをお読みください。

株主提案議案賛同のための各種書類のダウンロード
参考書類(1)2017株主提案.pdf
参考書類(2)2017株主提案マニュアル.pdf
参考書類(3)2017書類記入注意事項.pdf
参考書類(4)総会に出席しない株主様へのお願い.pdf
送付書類(1)2017送付先指定書.pdf
送付書類(2)2017個別株主申出書.pdf
送付書類(3)2017合意書用紙.pdf

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東京電力第93回定時株主総会 共同株主提案議案
(注)議案は内容の趣旨を変えない範囲で字句を修正することがあります。

下の「続きを読む」をクリックすると株主提案が表示されます。
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公開文書のダウンロードについて
 今まで文書の公開に活用していたDropboxの機能変更のため、2017年3月15日より、これまでにアップしていた文書のリンクが切れ、エラーとなります。

 今後は別の方法で公開し、過去の分も順次リンクを更新する予定ですが、時間がかかります。ご了承ください。


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脱原発・東電株主運動事務局

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