脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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6月28日(火)東京電力株主総会 当日の動きについて
東京電力第92回定時株主総会
6月28日(火)10:00~(受付開始9:00)
会場:国立代々木競技場 第一体育館(JR山手線原宿駅、東京メトロ千代田線明治神宮前駅徒歩5分)

総会当日、脱原発・東電株主運動では、開会前に9時頃から原宿門付近で「今総会の見どころは?」チラシの配布とアピールをします。
総会後には別会場で報告会&反省会を行います。ぜひご参加ください。

株主提案席
例年通り、会場内の前方中央付近に32席設けられます。
この席には、当会事務局員や議案の趣旨説明者らが着席する予定です。
提案株主は誰でも座れますので、着席希望の方は、会場係員に提案株主であることを告げてください。案内されます。
ただし、9時40分までに着席していないと他の株主に解放されますので、着席希望の方はお早めにご来場、ご着席ください。

●総会後は、原宿門付近で小集会をします。

総会後の報告会&反省会
場所:千駄ヶ谷区民会館(03-3402-7854、渋谷区神宮前1-1-10)
*総会会場から徒歩12分程度。
https://goo.gl/T3dlO9
総会終了1時間後ぐらいから開始。時間は総会後の小集会で告知します。ぜひご参加ください。
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熊本地震が示す地震危険度 川内・伊方原発に迫る危機
 2月号(No.254)で、九州電力が免震構造の「緊急時対策所」設置を計画していたのに撤回し、耐震構造の「支援棟」建設で誤魔化そうとし、それが関西電力などに波及していることを批判した。
*「免震棟建設を見送る原発 川内が良いのならと他も追随」参照。

 その直後に発生した「熊本地震」により、震源が原発に迫る可能性も否定できない中で、再稼動からわずか半年で新たな危機に直面することになった。
 「免震重要棟」は、原発にどんな教訓を示したのか。

 福島第一原発に免震重要棟がなかったら、東京も避難地域になっていた。3000万人の避難が現実のものとなっただろう。そのことは吉田昌郎所長や清水正孝社長(いずれも当時)の証言により明確だ。

 その後、国の運転認可は原子力規制委員会による規制基準適合性審査を経たものに出されることになった。福島の教訓を踏まえて、必ず作ることを求められたのが「免震構造の建屋に設置される緊急時対策所」だったはずである。

 規制委員会が策定した規程『実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈』第61条に『a)基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにするとともに、基準津波の影響を受けないこと』と規定したのである。すなわち、緊急時対策所が免震機能を有することを求めていると解釈するべきだ。

 同第39条の規程には地震による損傷の防止として『例えば、設計基準事故対処設備は剛構造であるのに対し、特定重大事故等対処施設に属する設備については、免震又は制震構造を有することをいう。』と明確だ。

 なお、特定重大事故対処施設とは、航空機の墜落やテロ攻撃による破壊を受けても炉心溶融を防止することを目的として設置されるものだ。
 基準地震動を超える「残余のリスク」によりもたらされる危機においても機能を維持し、過酷事故対策設備として使い続けることを想定している。

免震機能を要求する意味
 設置許可基準規則の解釈において、緊急時対策所に免震機能を要求していることの意味は何か。
 設置許可基準規則34条で、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に設けることを要求しているのは、原子炉を冷温停止させるために必要不可欠な制御室が使えない場合、代替手段として同等の機能を有する設備が必要になるからだ。

 今回の熊本地震のようなケースを例に取るならば、制御施設が使えなくなった場合、原子炉建屋ないし補助建屋にある制御室は剛構造の耐震構造であるが、緊急時対策所が同じ耐震構造であるとしたら、揺れにより制御室が損傷を受けるような規模であるとすると、同程度の強度である緊急時対策所も同じく使用不可能となる危険性が高いと見るべきだ。しかし緊急時対策所を免震構造にしておけば、そのリスクは明らかに低くなる。

 耐震構造(岩盤に岩着させて強固に作ること)で作られている原子炉制御室と、免震構造で作られている免震施設は、2種類の異なる構造で安全性をより強化した。
 設置許可基準規則の解釈で「免震機能等により」と明記している以上、規制基準の求める性能は、明らかに緊急時対策所を免震で建てることだ。

 原発そのものを免震構造で作ったとしても、安全性が向上するとは限らない。免震装置が重量構造物の原発を支えきれなければ耐震構造よりも脆くなるかもしれない。タービン建屋や使用済燃料ピット、補助建屋などを含めて免震構造にするのは既存の原発では極めて困難で、十分な効果を期待できるとは思えない。

 しかし基準地震動を超える地震を想定して作るならば、緊急時対策設備や電源設備は明らかに耐震よりも免震のほうが有効である。

法令に違反する九州電力
 熊本地震が起きている今でも、九州電力の原発には仮設の緊急時対策所しか存在しない。地震前に、免震構造で作るべき緊急時対策所を含む重大事故対処施設を、原子炉建屋と構造が同じ耐震構造で作るからと「撤回」しておきながら、震源が拡大し続ける今でも運転を止めるつもりがない九州電力の行為は、到底許されるものではない。

 設置予定だった免震構造による建屋は、地上3階建てで収容人員は300人。内部に事故対策の拠点となる緊急時対策所のほか、医務室や宿泊室、環境中の放射能測定をする部屋などを設ける計画だったという。(時事通信より)

 今の仮設緊急時対策所は収容人員100名程度とされるが、緊急時対策エリアはわずか170平方メートルで、大きめのマンション2部屋程度だ。汚染された防護服などを着替え、汚染がないかスクリーニングを行うスペース(チェンジングエリア)に至っては10平方メートル(6畳間くらい)しかない。ここで交代なしで最低1週間持ちこたえろというのだから信じがたい。

 この安全対策の値切りを規制委員会が「結果的に」受け入れるならば、福島原発震災の教訓どころか、これまでの過酷事故対策の要求さえ放棄するものとなる。

 もともと「免震重要棟」と呼ばれる緊急対策施設が東電福島第一原発に存在したのは、中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発の教訓からであった。
 その必要性は2007年から明白であったのに、東電が新潟県から要求されてやっと建てたのである。もし福島にそれがなかったならば、地震とその後の爆発による爆風で大破した事務棟に居続けることになった従業員と下請作業員に大量の死傷者が出た後、全員が退避を余儀なくされたであろう。

熊本地震の示す脅威
 熊本地震は地震学者も「これまで経験したことのない」という特異な地震だ。
 歴史記録を見ると、このような展開は1596年にもあったことが分かる。慶長伊予地震(9月1日愛媛を中心に発生した中央構造線の地震)、慶長豊後地震(9月4日大分の別府湾の地震で、中央構造線と連続する別府湾-日出生(ひじゅう)断層帯の地震)、慶長伏見地震(9月5日、近畿地方の地震で、伏見城(指月伏見城)の天守や石垣が損壊、有馬-高槻断層帯か六甲-淡路島断層帯の地震)が数日間に連動した。この時は九州から近畿地方に至る中央構造線と近くの断層の長大な連動である。

 熊本地震は中央構造線に属する日奈久断層帯でマグニチュード6.5の前震が発生し、直後に隣接する布田川断層帯で7.3の本震が起こった。震源の広がりはその後も続き、南西側と北東側に立て続けにマグニチュード5クラスの地震を起こしている。

 これから川内原発や伊方原発の下が大規模に破壊されるような地震が起きないとは誰にもいえない。日奈久断層帯は八代海で海の中に消える。しかしなくなっているわけではない。厚い堆積土壌で海の断層は見つけにくい。その先にある甑断層にも連続しているかもしれない。
 また、日奈久断層帯と平行している出水断層は川内原発にも近い。
 どちらも原発に影響を与えることが分かっている断層だけに、これらが活動する危険も高まっていると考えるべきだろう。

 そして最大の脅威は、マグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生し、原発に大きな応力を加える可能性が高いことだ。
 大きな地震が起きれば、余震は続くが、同じ所ではしばらく大地震は起こらないと思われたが、今回はこれまでで3回しか記録されていない「震度7」が連続して起きた。もちろん原発の耐震設計で基準地震動を2度も連続して受けることは想定外だ。
 熊本地震のようなパターンは、地震学者のみならず事業者にとっても想定外なのだ。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.256(2016年5月15日発行)より。
自民党の憲法草案の危険性―現行憲法との比較表―
 熊本地震を機に自民党は「緊急事態条項」を含む憲法改正を持ち出してきています。

 東日本大震災を経験した達増(たっそ)岩手県知事や多くの憲法学者は、災害時については法律の変更で十分対応できる、憲法改正は不要であると発言しています。

 そこで、2014年に自民党が発表した「憲法草案」と現行憲法の比較表を掲載しますので、ぜひダウンロードしてご参考になさってください。
*ダウンロードはこちらから
自民党憲法改正草案の問題点V0.9.pdf
私たちの議案にご賛同ください(賛同の受付は終了しました)
 九州電力は、川内原発の再稼働に当たっての条件であった免震重要棟の新設計画を反故にすると発表しました。これでは原子力規制委員会は有名無実です。

 免震重要棟に関してはマスコミであまり重要性を報道されていないように思いますが、福島原発震災では中央操作室は放射線量が高く長時間滞在は不可能でしたから、この免震重要棟がなかったら4機の原発の事故処理には当たれなかったでしょう。

 2007年の中越沖地震の際、新潟県の泉田知事の進言で新設されたのが免震重要棟なのです。事故直後に作成された当時原子力委員長の近藤駿介メモでは、最悪の場合250キロ圏内は壊滅でした。東日本の人々は泉田県知事のおかげで命拾いをしたと言っても過言ではありません。

 実効性のある避難計画もないのに「世界一安全」と安倍首相が胸を張る規制基準。様々な嘘にだまされ、あきらめさせられていく国民がいます。11月には新潟県知事選挙もあります。まずは東電の原発を動かさないこと。東電の株主として声をあげましょう。

 本年6月の株主総会にご欠席の場合は、東電より送付されます議決権行使は白紙委任(議決権行使書を白紙で投函することは原発推進につながります)または棄権されることなく、ぜひとも私たち脱原発・東電株主運動が提案する株主提案にご賛同くださいますよう、お願い申しあげます。
2016年3月20日
脱原発・東電株主運動事務局
〒216-8691 川崎市郵便事業株式会社宮前支店 私書箱19号

※2016年の脱原発株主提案議案への賛同を募るため、2016年3月20日に発送された書類より抜粋。
賛同の受付は終了しました。たくさんのご賛同ありがとうございました。
 株主の方は総会に出席して、あるいは開催通知の返送時に、ぜひ私たちの株主提案に賛成してください。

東電の株主の方は、私たちの株主提案にぜひご賛同ください。
 下記のリンクから、提案株主になるための書類をダウンロードできます。
 参考書類(1)と(2)をよく読んで、送付書類(1)~(3)をお送りください。
 申し訳ありませんが、送料、手数料等はご負担ください。
 送付書類(1)と(2)は3月29日(火)~4月15日(金)の間に郵送または提出、
 送付書類(3)は4月23日(土)必着です。
 詳しくは株主提案マニュアルをお読みください。

株主提案議案賛同のための各種書類のダウンロード
参考書類(1)2016株主提案.pdf
参考書類(2)2016株主提案マニュアル.pdf
参考書類(3)総会に出席しない株主様へのお願い.pdf
送付書類(1)2016送付先指定書.pdf
送付書類(2)2016個別株主申出書.pdf
送付書類(3)2016合意書用紙.pdf

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東京電力第92回定時株主総会 共同株主提案議案
※東電の定款の体裁に合わせるなど、議案の文章を一部修正しました。議案の趣旨は変わりません。(4月20日)

下の「続きを読む」をクリックすると株主提案が表示されます。
続きを読む
免震棟建設を見送る原発 川内が良いのならと他も追随
命より金
 東京新聞が2月7日に報じたところでは、再稼働を申請中の11原発で、免震機能を省く方向で検討していることが明らかになったという。
 「原発事故が起きた際の対策拠点をめぐり、電力各社が原子力規制委員会に新基準による審査を申請した全国十六原発のうち十一原発で、地震の揺れを緩和する免震機能をなくし、当初方針より規模も小さくするなどしていることが本紙の取材で分かった。必要最低限の施設を整え、低コストで早く審査を通したい各社の姿勢がうかがえ、東京電力福島第一原発事故の教訓はないがしろにされている。」数十億円の費用がかかるため難色を示す電力が多くなったということだ。

 この安全対策の値切りを規制委員会が「結果として」受け入れるならば、福島原発震災の教訓どころか、これまでの安全対策要求さえ放棄するものとなる。
 もともと「免震重要棟」と呼ばれる堅固な緊急対策施設が東電福島第一原発に存在したのは、中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発の教訓からであった。

 その必要性は2007年から明白であったのに、東電が新潟県と福島県から要求されてやっと建てたものである。もし福島にそれがなかったならば、地震とその後の爆発による爆風で大破した事務棟に居続けることになった従業員と下請作業員に大量の死傷者が出た後、全員が退避を余儀なくされたであろう。

泉田裕彦新潟県知事の談話
「07年の中越沖地震の時、柏崎刈羽原発の東電のサイトと連絡が取れなくなりました。ホットラインのある建物が地震で歪んでドアが開かず、入れなかったというのですが、地震の際、事故は複合で起きるわけだから、ホットラインが使えないと困ると、かなり言ったんです。もう知事、そろそろいいんじゃないかという話も多々ありましたけど、断固としてやってくれと言った。そうしたら造ってくれたのが免震重要棟なんです。あわせて、福島にも免震重要棟を造った。完成したのが、東日本大震災の8か月前でした。だからあの時、私がひよって、言うべきことを言わなかったら、あの福島に免震重要棟はなかったんですよ。免震重要棟がなかったら、いま東京に住めないんじゃないですか。」(「注目の人直撃インタビュー」より、日刊ゲンダイ2013年10月24日)

 免震重要棟がなかった場合、1号機の真横に建っている事務本館で収束作業を行うことになったが、地震の被害を受けていた上、原発の爆発をまともに受け、大勢の犠牲者が出て、緊急対策施設としては機能を失ったであろう(幸い、事務本館は入室禁止で、爆発時に誰も居なかった)。そのため作業ができる人は誰も居なくなり、結果として関東一帯を含む170から250キロ圏が居住不能地域になったかもしれない。被災者は3000万人にも上ったであろう。

 東電の清水正孝社長(当時)も2012年の国会事故調の参考人聴取で「あれ(免震棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と証言している(国会福島原発事故調査委員会・第18回委員会にて2012年6月8日)

 それでも福島第一の免震重要棟は、災害規模に対して狭すぎた。現場作業を行った人々はろくに休むところもなく、廊下や床に段ボールを敷いて寝ていたという。おそらく体調を崩す人が大勢いただろう。また、事故を起こした原発にも近すぎて、いわゆる「撤退」問題が生じた理由の一つも立地点の悪さだった。

 万一、4、5、6号機の炉心も崩壊するような事故だったら、免震重要棟も放棄せざるを得なかった。
 死にたくないのだったら原発職員こそ声を上げるべきだ。

免震機能設備は規制基準の要求だ
 免震棟は九電の社長が言うように、同じような機能があればいいという程度のものではない。「基準規則第61条」には「重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができ」「重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けたもので」「内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行う」ことができることと規定しているが、その法令解釈は「基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにする」ことである。そして「例えば、設計基準事故対処設備は剛構造であるのに対し、特定重大事故等対処施設に属する設備については、免震または制震構造を有することをいう」(関西電力、高浜原発・設置許可規則基準規則と技術基準規則の比較表より)としている。

 緊急時対策所の機能喪失を防ぐには免震機能でなくてはならない。それは耐震(岩盤に岩着させて強固に作ること)構造だけでは出来ない。耐震構造ならば原発こそ最も高い耐震性を有するが、福島第一原発で見ても分かるとおり、建屋がどんなに頑丈に出来ていても、大きな揺れに揺さぶられて内部の構造が破壊されては元も子もない。特に電源や配管周りは脆弱であり、建物が強固であればあるほど、附属設備がちょっとでも脆弱ならば破壊される。

 現在要求されている免震機能は重大事故時の緊急対策所なので、指揮命令を行うスタッフが常駐し、大勢の人々が待機できるスペースと、第二制御室の設備にバックアップの電源装置、冷却材を注入する設備配管などが複雑に設置されるはずだ。こんなものを剛構造で作るならば、原発をもう一基建てるほどの金を内部設備にかけなければ無理だろう。もとより事業者は、そんなことをする気はさらさらない。

 そのような災害が予見できる時に、事故収束の拠点となる施設を免震構造で安定した設備として作る必要性を認めない電力会社に、そもそも核を扱う資格などない。これだけで原発の設置許可が取り消されてしかるべきだ。

運転許可を取り消すべき

 規制基準において義務づけられる機能を有しないままに再稼働するような電力会社は、直ちに運転認可を取り消すべきだ。
 これは地元に対しても背信行為であり、今地震に襲われれば直ちに危険な事態になるわけだから、運転許可を出したことは誤りである。

 東京新聞が調査して、免震機能のない「安普請の」設備に変えていた原発は、北陸電力志賀原発など11原発にのぼり、当初計画通りの施設整備をしたのは、東京電力柏崎刈羽原発と中国電力島根原発だけだったという。
 これらについては、想定される基準地震動に問題が無いか、敷地内に地震で動く断層が無いかを焦点とするべきである。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.254(2016年2月14日発行)より。
電力自由化と気候変動――世界の流れに逆行し、石炭火発乱立と原発温存に進む日本
 4月から始まる電力小売全面自由化に向け、どこの切り替えようかと頭を悩ませている人も多いと思います。電力会社を自由に選ぶ権利を得たものの、今の状況は、残念ながら再生可能エネルギー(再エネ)を消費者が選択でき、社会全体で再エネを増やす制度にはなっていません。

 電力小売事業者に電源構成の表示義務はなく、今年になって堰を切ったように始まった各社の「電力広告合戦」は、付加価値をつけた“安さ”だけが強調され、どんな電源構成かも分からないものばかりです。

 電力自由化は、私たちが求めるようなエネルギー転換に向かうのではなく、単なるコスト競争だけに晒され、時代に逆行するエネルギー社会への扉を開けてしまったのではないかという危機感を覚えます。とりわけ「安価」な石炭火力発電(石炭火発)へのシフトは、今の日本で危機的状況です。

 2011年の原発事故後、政府は電力システム改革と同時並行で、エネルギー基本計画の改定やエネルギーミックスを決定してきました。2013年6月にまとめられた「日本再興戦略」では、①高効率火力発電の徹底活用、②環境アセスメントの明確化・迅速化、③民間企業が高効率な火力発電に円滑に投資できる環境の整備、などが掲げられ、石炭を含む火力発電の推進体制が敷かれます。

 そして、エネルギー基本計画では「安価」で「安定」であることを理由に、原発とともに石炭を「重要なベースロード電源」に据えました。その後、政府の“お墨付き”を得た大規模石炭火発の新規建設の計画が急増していきます。

 計画の中には、電力会社に加え、大手ガス会社が出資する大規模石炭火発などもあり、環境アセスで環境大臣から「是認できない」との意見が公表されながらも、それを無視して次の手続きに進んでいます。

 一方、環境アセスの対象外である、11.25万kWを少し下回る10~11.2万kWの石炭火発もこの2年間に全国で乱立しています。環境アセスの手続きが不要な分、早ければ2016年から稼働する計画もあり、まさに電力自由化後に、石炭火発が小規模なものから大規模なものまで次々と稼働しかねない状況です。

 現在、分かっているだけでも、大小あわせて約47基の石炭火発の新規計画があります。どんなに「高効率」で「最新型」であっても、石炭火発のCO2排出量は天然ガスの約2倍と非常に大きく、持続可能な電源とは言えません。

 一方で、大手電力会社と新電力大手23社は昨年7月、「電気事業における低炭素社会実行計画」を発表し、「2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度」とすることを目標に掲げました。日本で最高効率と言われる石炭発電技術USCでも約0.83kgCO2/kWhありますから、この目標を大幅に超えます。

 つまり0.37kg-CO2/kWhにするためには、原発を中心とする「非化石電源」とのミックスにするか、海外からクレジットを購入するなどしてバランスしなければなりません。石炭を進めることは、原発依存の体制を温存するリスクを多分にはらんでいます。

 気候変動問題が顕著になった今、とりわけ欧米社会では石炭火発からの脱却に向かって、様々な政策導入や投融資の引上げなどが行われています。イギリスは2025年には既存の石炭火発から撤退することを決めるなど、EU諸国は再エネを増やし石炭をやめる方針がとられています。

 米国は、オバマ大統領の気候行動計画にもとづき、環境保護庁が事実上の石炭火発規制案を提案しています。昨年12月にCOP21で合意された「パリ合意」にもとづき、「脱石炭」の流れは世界的にさらに加速するでしょう。

 再エネを大幅に増やし、原発や石炭などの既存の電力システムからは脱却していく、そうしたエネルギーシフトを実現するために、気候変動対策としては炭素税や排出量取引制度、あるいは石炭火発の規制強化などの実効的な対策が各国でとられています。

 日本は、原発・石炭依存という時代を読み誤った政府の政策方針のもと、電力自由化の価格競争によって、石炭火発乱立と原発温存に拍車がかかっています。電力小売事業者が消費者獲得競争に力を入れている今こそ、消費者はしっかりと各企業の姿勢を問い、原発や石炭に依存していないかを確認しながら、電力会社を選択していくことが求められているのではないでしょうか。(気候ネットワーク M)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.253(2016年1月17日発行)より。
事故直後から準備されていた「次の核事故」リスクコミュニケーション対策
 東北地方太平洋沖地震により発生した東電原発事故から、12月で4年9カ月。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるが、事故収束のメドも全くついていないばかりか、増え続ける汚染水にも何ら解決手段が見当たらない状態、さらに福島県内での小児甲状腺がんが3.11以前の発生率に比べてケタ違いに増加してきているなど、今後われわれ国民が受け得る影響、被害という「熱さ」は「喉元」を過ぎるどころか、いまだその全貌は誰にも想像すらつかないままである。

 このような未曾有の危機が悪化の一途に向かっているにもかかわらず、安倍政権は「原発に依存しない経済を目指す」とした選挙公約をアッサリと反故、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、事故の原因究明も反省も無きまま九電川内原発を再稼働、さらに四国電伊方原発の再稼働まで目論んでおり、「原発に依存しない」どころか「原発回帰」を加速し続けている。

 そんな政府が原発事故以降、懸命に行ってきたことが、原発事故収束作業でもなければ原発事故被害者の救済・補償でもなく、「いかに原発事故の現状、影響、被害から国民の目を逸らすか」であり、「いかに何事もなかったかのように核汚染地域に人を住まわせ続けるか」であったことを、私たちは今一度確認しておく必要がある。これは、3.11直後の民主党政権から現安倍政権に至るまで一貫していることだ。

 だが、いかに政権がメディアを駆使して国民の目を真実から逸らせようとも「事実」を消すことは不可能だ。福島県では、事故当時18歳以下の子どもたちを対象に甲状腺検査を行っているが、平成27年11月30日現在、平成23年度から25年度にかけて行われた1巡目の「先行検査」では114人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」と診断(うち、手術によりがん確定100人、良性結節1人)され、平成26年度からの2巡目の「本格検査」では、新たに39人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」があると診断(うち、手術によりがん確定15人)されたのである。

 日本では数少ない疫学専門家の岡山大学大学院の津田敏秀教授は、「Epidemiology」という権威ある疫学専門の医学誌に、これら甲状腺検査で得られた結果を疫学的手法により分析した論文を発表した。それによると、潜伏期間を4年として、ほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの甲状腺がん発症率(100万人あたり3人程度)と比較した場合、福島県中通りの中部で約50倍、東電原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍と、スクリーニング効果や過剰診断では説明不可能な甲状腺がんの多発が明らかになったという。

 津田教授は「これらの分析結果について海外では、関心は大いに持たれたものの、高すぎるという反応以外には、違和感なく受け入れられてきた。スクリーニング効果や過剰診療での説明がなされている日本国内と大きなギャップを感じている」と述べ、いまだに「原発事故の影響とは考えにくい」としている検討委員会による「公式見解」と、それに基づく行政の不作為を批判し、早急な対応の必要性を訴えている。

 一方、事故発生直後から「住民の被ばく量は少ないので被ばくによる健康被害は起こらない」と言い続けている人たちがいる。例えば南相馬市などで活動している東京大学の医師や科学者たちだ。彼らは発災数カ月後より南相馬市を中心にホールボディカウンターを用いて住民の内部被ばく調査を継続、そのデータを次々に論文として発表しているが、いずれも「住民の内部被ばくは測定機の検出限界以下であり著しく低い」とするもので、さらに避難住民の健康調査などから、避難生活に起因する疾病のほうが被ばくによる健康影響より懸念すべきなどとして、住民の被ばくに対する不安を払拭することこそが被災地の復興に重要である、との意見発信をメルマガなどを用いて精力的に行っている。

 しかし、そもそもこの装置は体内に取り込まれた放射性物質が発するγ線を検知するものであり、内部被ばくの影響として本来重要であるα線やβ線を発する核種による内部被ばくは評価できない。また尿検査など生体試料を用いた検査に比べ著しく感度が悪いことなどから、放射線被ばくの専門家は、「ホールボディカウンターを用いた住民の内部被ばく検査を行うことの本質は、まさに『内部被ばく隠し』に他ならない」と批判している。

 原発事故により放出された膨大な量の放射性物質に、福島県民のみならず東日本一帯の国民が「曝露」されたという明確なファクトがあるにもかかわらず、「不検出」という調査結果こそがファクトであるとして、住民を集めてはリスコミ(リスクコミュニケーション)と称して勉強会を開き、「不検出=被ばく無し」とのスリコミをし続けている医師たちの活動は、一見、不安を抱く住民に寄り添う篤志ある支援と見紛うが、その本質は、核事故被害者、被ばく者の「切り捨て」という国策と、電力会社の企図を補強する活動であることに他ならない。

 今後次々に再稼働される原発は、いずれ遠くない将来に核事故を起こすだろうが、このような「福島だって大した被ばくじゃなかった」「万一事故が起きても被ばくを心配して避難するほうが体に悪い」といったリスコミ対策がすでに産官学一体となり着々と準備されている。これが「次の核事故被害地」にて「粛々と援用」されていくのだ。原発事故による「熱さ」などそもそも無い、そんな作られた空気に非常に強い不気味さを感じる。(KT)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.252(2015年12月6日発行)より。
政府による言論封殺を導く「放送法遵守を求める視聴者の会」広告を憂える
 2015年11月14・15日の産経新聞と読売新聞に、すぎやまこういち(代表)、渡部昇一、ケント・ギルバート、小川榮太郎(事務局長)氏らが呼びかけ人となり、「放送法遵守を求める視聴者の会」の全面広告が掲載されました。

 この広告では、TBSニュース23のメインキャスター岸井成格氏が放送法違反である疑いが濃厚な発言と指摘しました。テレビ事業者は放送法の規制下にあり、放送法第4条の「一 公安及び善良な風俗を害しないこと。二 政治的に公平であること。三 報道は事実をまげないですること。四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」の規定を遵守することを求め、政府の施策に反対する報道を牽制したものです。
 しかし放送法の4条は法的な拘束力がなく、倫理的な規範であると解するのが通説的な見解です。この広告の放送法の解釈には根本的疑問があります。

 秘密保護法対策弁護団の海渡雄一弁護士が、この広告を徹底批判した文を株主運動に寄せてくださり、株主運動ニュースNo.252(2015年12月6日発行)に特別付録として掲載されました。ぜひ拡散をお願いします。

201512海渡放送法.pdf

放送法遵守を求める視聴者の会



プロフィール

脱原発・東電株主運動事務局

Author:脱原発・東電株主運動事務局
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