脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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「確率的安全性評価解析」で既に指摘されていた「原発震災」の実態

歴史知らずは東電のお家芸

「わが国が経験したことのない大規模地震に伴う津波といった自然の脅威によるものとはいえ、このような事態に至ってしまったことは痛恨の極み」これは清水正孝社長が3月19日に語ったことだ。この中には次の条文に関する含みがあった。「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(原子力損害賠償法第三条)。これは損害賠償に関する免責を謳った条文である。「東電が免責適用を検討」という驚く報道の根拠はここにあった。これほどの原発震災に対して免責など誰が認めるものかと思ったら、経団連会長が免責適用と国の補償をと言い始める。国の補償と言っても結局は税金を投入せよというわけだ。

恐ろしいまでの意識なのだが、これが適用されるのかと疑問の向きもあろう。しかしそれほど世の中甘くは無い。

まず、清水社長の発言は全くのデタラメ。日本が遭遇した津波について、100歩譲って有史以来と言ってもいいが、その中には14mどころか、80m(1771年八重山地震津波)を超えるものさえある。同じ震源域の津波に限っても貞観地震(869年)の記録をひもとけば、ほぼ今回と同程度の津波が仙台平野を襲っていたことは既に知られていた。1000年に一度だった?いや、実際には400~500年に一度はあったとみられている。東北日本は繰り返し津波被害を経験してきたのだ。

さらに津波災害については福島第一原発を想定したとみられる解析がある。

「地震に係る確率論的安全評価手法の改良・独立行政法人 原子力安全基盤機構10 原確報」(以下PSA解析)という文献は福島第一によく似たプラントを想定している。いや、ほとんど福島第一と同じとみて良い。

破壊のシナリオ

2010年12月公表のPSA解析は、「BWR4」というタイプの原発について津波波高が15mあれば炉心溶融は免れないと書いていた。これは、敷地の高さが基準海面+13mの高さにあった場合、さらに2m高い津波に襲われれば、非常用電源設備などが失われ、原子炉の冷却は不可能になるのと同時に、外部電源も失われ、炉心溶融の限度時間内に電源回復も不可能になるという想定に基づくものだ。

微妙に福島第一と似ていて違えている部分もある。

「BWR4」とは、日本で最も古いBWRである敦賀1や福島第一1の後継としてGE社が開発したもので、日本では福島第一の2~5と浜岡1、2(いずれも既に廃炉)、女川がこれにあたる。その後継のBWR5(改良標準型を含む)は東海第二、福島第一6、第二、柏崎刈羽1~5など多数ある。

BWR4で敷地高さ13mというと、福島第一の5に相当する。1~4は10mしかないのだ。この3mの差が、福島第一の1~4と5、6号機の運命を分けた。

さらに言えば女川もまた、敷地の高さが津波の高さをやや上回る14mあったこと、外部電源が取れていたことが幸いした。福島第一は外部電源が地震で失われ、非常用ディーゼルも6号機の1台だけしか動いていなかったうえに、1~4号機への電源連携線がそもそも存在していなかった。

PSA解析は、海水ポンプが水没し、非常用ディーゼルや外部電源の全喪失(ステーション・ブラックアウト)が起きれば、炉心損傷を免れないことを明確に記述していたが、その最初の関門が防波堤の高さを超え、海水ポンプの設置高を2m上回る、津波波高6m超えだった。また、1~4号機については、敷地の高さが10mしかないので、2m高い12mがメルトダウンの最終防衛線だったことになる。ここを超えたら、もはやなすすべはなかったのだ。

津波6mで破壊は免れ得なかった

まとめると、既に昨年のPSA解析において、福島第一は津波波高6mで海水ポンプは使用不能となり、炉心損傷は免れず、波高が12mに達したら、メルトダウンの確率はほぼ100%になっていたこと。その対策をしなければならないという危機感が解析文書が公表された当時も無かったし、地震発生時点でも無かった。すなわち、原子力安全基盤機構という原子力産業の側の機関が行っている解析に対してさえ、真剣に対処する必要を感じていない人たちが、日本各地で原発を動かしていることになる。

ことは東電だけの問題ではない。この解析に従って津波対策を強化していた原発など一つも無いのだから。

山崎久隆 (脱原発・東電株主運動ニュース No.207より)


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2007年株主提案を分析

耐震設計見直しに伴う委員会の設置議案の再評価を!

東電株主提案の今年の各議案の賛否は表1、年次推移は図1のとおりである。

■取締役報酬などの個別開示に33%の賛成(8号議案)
『第8号議案 個々の取締役の報酬、賞与及び退職慰労金は遅滞なく公表する。』が、今年は33%の賛成を獲得した。この議案は、昨年も同趣旨で26%の賛成を得ており、今年は一段と支持を広げた。同様趣旨の株主提案は、ソニーにおいて株主オンブズマンが毎年提案しているが、年々支持を広げ2007年は44.3%と過半数に迫るまでになっている。
(株主オンブズマンHP:http://kabuombu.sakura.ne.jp/2007/20070622.htmlより)

■原発の耐震設計見直しに伴う委員会の設置(11号議案)は5%の賛成に終わったが、総会後の7月16日に新潟県中越沖地震が発生し、柏崎刈羽原発が耐震設計の2倍以上の揺れに見舞われて大被害を受けたことから、提案内容の重要性があらためて浮き彫りになった。この提案に対する取締役会の反対意見が「十分な耐震安全性を確保するための措置を徹底……最新の知見等を活用しながら評価を実施……地震対策に万全を尽くし……」等、修飾語過多のむなしい内容であったことをあらためて指摘しておきたい。

■利益処分案5%賛成、実質では11%の支持を獲得(7号議案)
 株主提案の利益処分案は5%賛成、6%無効票を獲得した。無効票は実質的には株主提案に対する賛成なので、実質的な賛成支持は11%となり、昨年の実質支持率24%から後退した。一方、注目された中部電力に対するザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)による増配提案(1株60円を90円に増配)は8割超の反対多数で否決された。このような増配の株主提案は外資ファンドが各社で行ったが、いずれも否決されて支持を広げることができなかった。これは相次ぐ外資による企業買収やグリーンメーラー的な動きに対する嫌悪感が広がった結果であろう。しかし、既にソニーやキヤノン等の大会社では外資割合が過半数を超えており、東証1部全体でも外資割合は約3割になっている。

*グリーンメーラー:経営権取得を目的とせずに、金の力で株を買い集め、大株主としての影響力を行使して、極端な増配や高値での株の引き取りを会社や関係者に要求する者を指す。「緑色のドル紙幣」(金の力を象徴)と「ブラックメール(恐喝状)」を掛けた蔑視的な造語。

▼無効票の正体
表1のように、会社と株主の対立議案の場合にのみ、ほとんどの無効票が発生する。それは、議決権行使書の但し書きで「会社提案に無印は、賛とみなし」、「株主提案に無印は、否とみなす」と、会社提案に有利な投票方法になっているためである。対立議案の場合、株主が「株主提案に賛を印し」、「会社提案に無印」とした場合には、両案に賛成したと見なされ、無効票となるのである。(塚本水樹)

表1 2007年株主提案の賛否
賛成 反対 無効 株主提案議案
5% 89% 6% 7号議案 利益処分案。1株100円配当
33% 67% 8号議案 取締役などの報酬の個別開示
6% 94% 9号議案 データ改竄などの不正防止制度
5% 95% 10号議案 広報活動の適正化(オール電化)
5% 95% 11号議案 原発の耐震設計見直しに伴う委員会の設置
*賛否は議決権行使書ベース。総会会場での賛否はカウントされていない。

図1 株主提案賛成率の年次推移
株主提案賛成率の年次推移
*平均から利益処分案を除いているのは、実質賛成の無効票が多く存在するため。

『脱原発東電株主運動ニュース』No.170より。
論説『東京電力の再処理負担』
東電株主総会年鑑に掲載され好評でした、当会の塚本勝男さんによる論説『東京電力の再処理負担』を全文アップいたしました。各方面に広めていただければ幸いです。

●論説『東京電力の再処理負担』
http://yokohama.cool.ne.jp/todenkabu/ronsetsu.html





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