脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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【重要】東電株主代表訴訟/1月10日の口頭弁論はキャンセルになりました
購読者の皆様に先日お送りした「脱原発・東電株主運動ニュース」No.223号(2012年12月号)において、東電株主代表訴訟の第5回口頭弁論が1月10日(木)に行われることをお知らせしましたが、この口頭弁論はキャンセルになりました。
次回の口頭弁論は2月21日(木)10時半~東京地裁103号法廷です。

詳しくは東京電力株主代表訴訟のブログをご覧ください。
http://tepcodaihyososho.blog.fc2.com/
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現実を見据えた原子力防災を要求する
 原子力防災は、原発を止める大きなきっかけになり得る。しかし一方では誤った方針に基づき「現実的に可能な範囲で」などとする防災体制作りがされれば、さらに住民を危険にさらす結果になる。福島第一原発震災で経験したとおりだ。そのためにも、住民の視点から厳しく検証・批判を加える必要がある。

 さっそく、原子力規制庁の拡散予測図がいくつも誤っていたことが明らかになった。それを北陸電力(すなわち規制される側)から指摘されたというから、原子力安全・保安院時代から何も変わっていない規制側の程度の低さが露わになった(実際の計算はJNES・原子力安全基盤機構が行ったという)。

 この種のシミュレーションは、何度も何度も繰り返し検証をしてはじめて「一定の信頼性」が出る。通り一遍で「ハイできました」にはならない。やってみると「あれおかしいな」という点がいくつも出るはずだ。プログラム上のバグもあるだろうし、投入したデータが誤っている場合もあるだろう。実際に災害が起きてみて見当方針が間違っていることを知る場合もある。バグ取りやデータの修正や方針変更を繰り返して「一定の確からしさ」を見つけるのは簡単ではない。その結果、ようやく見劣りしない程度のものができる。

 ところが今回のシミュレーションはとんでもない計算をしている。特にひどいのは「地形を考慮しない」ことだ。理由は「計算が大変だから」では小学生の試験問題かと言いたくなる。それでは何の知見も生まれない(計算が大変だからと円周率を3で計算させるようなものという含意)。

 福島原発震災を見れば、地形が最も重大な影響を与えたことなど既に周知のこと。特に福島の人々にとって死活的なのは地形だった。その程度のことは今では世界中が認識している。

 特に背後に山を持つ地形が多い原発の場合、上空の風向とは全く異なる方角に高濃度のプルームが出現することなど当たり前に起きる。距離が離れているからと止まっていれば、大変な被曝を引き起こす可能性がある場所もある。そのような場所は、実際に事故が起きる前に地形データであらかじめ絞り込む必要がある。それこそが防災の基本ではないか。

 大雨が降ると深層崩壊が起きるという「定性的」条件で川沿い集落全部を避難地域にしてしまったら、かえって避難場所さえなくなる。そんな防災計画では、いざというときに何の役にも立たない。深層崩壊を起こす「地形的特徴」こそが最重要な情報であることを知らない防災関係者はいない。原子力防災の場合は、地形の他に天候の影響が極めて高くなる。風よりも遙かに甚大な影響を与えるのは雨と雪だ。特に柏崎刈羽原発の場合、豪雪地帯の魚沼地方が広範囲に含まれる。

 大雪の中で避難するなど自殺行為だし、大量の放射能を含む雪に閉ざされ避難できなければ累積100ミリシーベルトどころではない。雪が降り出せば自動的に防災対策は事実上不可能になる。そのような施設は泊、東通、大間、女川、福島第二、六カ所再処理工場、志賀、島根、玄海などだ。

 もともと原発事故のシミュレーションは「起こる可能性がある」事故ではなく「実際には起こるとは考えられない事故」仮想事故を想定していた。それですら8~10キロが対策範囲であった。いかに事故想定が甘かったかが分かる。放出放射能の割合がヨウ素でも炉内量の100万分の1程度でしかない。

 東電柏崎刈羽原発が、風下40キロを超えて防災エリアが拡大したことで大きな「事件」になっている。しかし1週間100ミリシーベルトにも真実は存在しないし、地形が加味されていないデータで、さらに「97%値」の風向を採用することにも疑問がある。本来ならば最も厳しい気象条件を選ぶべきだ。

 「97%値」とは何か。例えば子どもの体重や身長記録データなどを小さい順に並べ、100人ならば3人目が「3%値」、97人目が「97%値」となる。母子手帳にもある「乳児発育パーセンタイル曲線」のグラフである。ある子どもについて全体の中での発育状況がわかる仕組みだ。

 しかしこの方法を使ってできるのは、例えば大気汚染のように長期間にわたる有害物質に曝露した影響が、どの地域により大きく出るかといったようなケースだ。

 これと緊急時の原子力防災では意味合いがまるで違う。原子力災害はあるとき突如、大量の放射能放出を引き起こす。勝負は事故後10日程度、その間にどれだけ避難態勢が取れるかだ。

 例えば16方位で100%を割れば、平均出現率は6.25%である。まんべんなく風が吹くとしたら、一方位あたりの確率は6.25%でしかない。時間にして548時間分である。それに対して3%で足きりを掛ければ、262時間分が切り捨てられる可能性がある。年間10日分にも相当する。それが全方位のうち5方位で出現すれば50日分のデータが消えるかもしれない。その消えた方位で風が吹くとき事故が起きる可能性は無視できないし、風が回るときには様々な方位を経ていくだろう。

 また、事前評価において全方位にまんべんなく風が吹くような立地環境だと、全方位に距離が出るが、一ないし二方向に卓越する環境だとそれ以外の方位には距離は出現せず「0」になってしまいかねない。前者は玄海原発、後者は東通原発と浜岡原発だ。玄海では15方位に距離が出ているが、東通と浜岡は半分の8方位が0である。「一番遠くまで出た方位を基準に、全方位をその距離まで対策する」という使い方がせいぜいだろう。それでも30キロ圏が最低保障になるのかどうか。今後の議論は重要だ。

 多くの原発では、30キロ圏までしか「緊急時防護措置準備区域」に設定しないだろう。しかしこの外側でも優に1週間で数十ミリシーベルトに達することになるわけだから、年間1ミリどころではない。1年間で20ミリシーベルトさえ大きく超える。仮想現実(シミュレーション)ではなく、そんな現実からも目をそらさせない取り組みが必要だ。(Y)

*「脱原発・東電株主運動ニュース」No.222(2012年11月18日発行)に掲載されたものです。


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