脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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電気事業法施行規則等の一部改正――賠償や廃炉費用を新電力や消費者に転嫁するな
はじめに
 この文章は「電気事業法施行規則等の一部改正」パブコメ(締め切りは8月26日)に送ったものです。趣旨は変えずに読みやすいよう手を入れています。
 今回のパブコメは、改正規則、省令等の新旧対象条文が示されているだけです。参考資料としても託送料金認可手続図などが2枚あるだけ。改正規則の内容を説明したものでさえありません。改正の内容が何なのか意図的にわかりにくくしていますし、提出される意見も「制度への反対」を封じるような作りになっています。

 規則や省令の改正では、その前提として制度の意義や目的等について規定する条文はありません。一般法とは違います。パブコメにかけられた規則の上位法は電気事業法です。
 電気事業法の中では一切規定していない原発の賠償負担金や廃炉費用を、法律の下にある施行規則や経産省令(経産大臣が決める)に規定しているのです。従来存在していなかった原発事故の賠償負担金や廃炉費用が、突如として電気事業法にさえ規定せずに、一方的に決められていこうとしています。国会での審議(議決)さえありません。
 これに対して反対の声と共に、問題点を指摘したパブコメを送りました。条文ごとに批判しているので、ちょっと長くなりました。

1 対象となる「賠償金」とは何か
 第45条の21の2「賠償負担金の回収等」について、対象となる「賠償金」とは何かをあらかじめ明確にすべきだ。
 条文には『一般送配電事業者は、当該通知に従い、賠償負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。』『2 一般送配電事業者は、第45条の21の4第1項の通知に従い、各原子力発電事業者ごとに賠償負担金相当金を払い渡さなければならない。』との規定がある。

 この条文には「東京電力」とは一言も書かれていないから、今後生ずる原発事故については原賠法に基づく保険金の支払があってもなくても賠償金を送電事業者を通じて消費者から「回収」できることになっている。
 このような想定は、そもそも東電改革や電力システム改革の議論でも確認されていないはずである。条文の書き方に大きな問題があると言わなければならない。

 原発事故が起こる度に、オートマチックに損害賠償金を消費者から取れるとしたら、重大なモラルハザード(倫理の欠如)を引き起こすことになる。
 百歩譲って、このような性格の資金を未来にわたり負担させることを求める法令を制定するならば、起こりえる事故の規模と必要となる損害賠償金額があらかじめ想定されていなければならない(予見可能性・法的安定性)。原子力事業者でもない一般送配電事業者に、最悪の原子力災害の見積もりができるわけがない。アンフェアである。

 その程度や規模が、社会通念上も電力システム上も許容できる範囲であるかどうか、慎重かつ広範な国民的議論を行って決めるべきものである。
 福島第一原発事故では、今日までに様々な形態で既に消費者が巨額の負担をしている。今後発生しうる原子力災害は、福島第一原発事故の規模を遙かに超えることもあり得る。その際に青天井で国民に負担を認める法令を作ることなど、認めることはできない。

 例えば、原発事故1回につき消費増税1%を30年間(累計約75兆円)と言われて、それでも原発を選択する者などあろうか。納得も理解も得られない制度は撤回すべきである。

2 「回収」の言葉は資金の性格を誤魔化している
 法令では賠償金相当額を徴収して原子力事業者に譲渡することを「賠償負担金の回収等」としていることに大きな問題がある。
 この賠償金の性格は、明らかに原子力事業者として負担または用意すべき原子力発電事業にかかる必要経費だ。その経費計上(積み立て・準備)を怠った東京電力に対して資金提供をすることは資産譲渡になり、法人税の課税対象にするべきものである。

 すなわち「回収」とは本来「徴収」であり、「払い渡し」は「譲渡」である。
 これらについては、財産譲渡と同じ性格であるから、譲渡を受ける事業者については「法人税課税」の課税所得金額に含めるべきである。

3 オートマチックな承認行為をしてはならない
 第45条の21の3「賠償負担金の額の承認」について、オートマチックな承認行為をしてはならない。
 条文では『原子力発電事業を営む原子力発電事業者は、その運用する原子力発電工作物及び廃止した原子力発電工作物に係る原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成23年3月31日以前に原価として算定することができなかったものを、一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするときは、回収しようとする資金の額について、5年ごとに、経済産業大臣の承認を受けなければならない。』と規定している。

 国の認可がなければ「回収」できない規定のように見えるが、実際のところは電力会社が保有する原発を運転してきた限り、認可されないことはない規定ぶりである。
 つまり、この条文の規定では、国による何の規制もかかっていないに等しい。条文を制定する意義がないのである。

 第2項には『5年間に回収しようとする賠償負担金の額が、賠償負担金の総額及び第1項の承認を受けた賠償負担金の額に係る回収見込額に照らし、適正かつ明確に定められていること。』などと規定している。逆に問いたいが、適正かつ明確ではない場合とは、いったいどんな場合を想定しているのか。

 このような無意味な規定ではなく、原子力事業者が賠償金を請求するのが正しいことなのかどうか、事故発生時ごとに第三者機関で審査を行うほうがよほど実効性があるから、そのような方式にすべきである。

4 情報は公開しなければならない
 第45条の21の4「各一般送配電事業者が回収すべき賠償負担金の額等の通知」では情報公開を義務づけよ。
 この条文に規定した金額については、その全ての通知内容は官報に掲載して公示すべきである。

 個別の金額も含めて全ての情報が開示されなければ、その正当性を第三者が確認するこができない。情報公開は必須である。
 この条文に決定内容について公示すべきことを明記することが必要である。

5 廃炉費用の転嫁に反対
 第45条の21の5「廃炉円滑化負担金の回収等」について、条文は『一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。』『2 一般送配電事業者は、第45条の21の7第1項の通知に従い、各特定原子力発電事業者ごとに廃炉円滑化負担金相当金を払い渡さなければならない。』と規定している。

 「廃炉円滑化負担金」とは何か。また、規定がないと廃炉が円滑に進まないとする根拠は一体どこにあるのか。
 まず、原子力発電設備は原子力事業者が自らの電力事業に供するために自らが資金を投じて建設し、運営しているのであり、それに対して国は立地自治体等への交付金を「電源三法」により徴収し、それを原資にして交付しているように、極めて高い公共性をも有している。

 これらが早期廃炉になるからといって、なぜ更なる支援をしなければならないのか、全く理解できない。
 このことは、他の電力設備を運用する電力会社に対して差別的処遇となる。早期に廃止しなければならない設備を再生可能エネルギーについて行っても、何ら保証はない。再生可能エネルギーを全量買い取る義務を一般電気事業者に課していても、その費用は電力料金の徴収時に別途回収しているのだから、一般電気事業者は負担をしていない。「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は毎月の電気料金に含まれている。

 そのうえ原発の廃炉費用まで負担しなくてもよいとしたら、一般電気事業者には原子力を推進するに際し何のリスクもないこととなる。廃炉費用は原子力事業者が自ら支出すべきものであり、他に転嫁してはならない。

 また、早期廃炉をすればするほど国民負担が増加する仕組みになっている。早期廃炉の中には設備の欠陥や立地不適当となるような原因で廃炉になるものもある。廃炉積立金不足なのならば、密封管理を長期に行いつつ、遅延廃炉の方法で必要な額を確保するまで積み立てを続ければよいだけである。その場合は当然電力会社の負担であるが、安全管理のための費用は発電費用に算入できることにすれば、過重な負担にはならない。

 これまで原発で巨額の利益を上げてきたうえ、理由も問わずに、使用できなくなった設備のために新たな「賦課金」の「回収」を義務づける規定は撤回すべきだ。

6 行政の公平の原則からも「廃炉円滑化負担金」は認められない
 第45条の21の6「廃炉円滑化負担金の額の承認」には『原子力発電工作物の廃止を円滑に実施するために必要な資金を一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするときは、回収しようとする資金の額について、経済産業大臣の承認を受けなければならない。』と規定しているが、その内容は単に廃炉に要する費用の明細を計上させているに過ぎない。廃炉に至る経過、その責任の所在等は何も問われないため、早期廃炉原発は、資金を求めて申請すれば、経産大臣により自動的に認可される仕組みとなっている。

 行政の制度で、これは一般送配電事業者に対する義務的負担金の性格を有している。このような性格の賦課金を制定し徴収するためには、高い公共性と他に代替のできない唯一無二の制度であることを示さなければならない。
 しかし電力システム改革や東電1F委員会のいずれの議論でも、疑問を呈する委員の発言があったり、明確に反対を表明する意見がパブリックコメントで圧倒的多数寄せられるなど、とても国民の納得が得られている制度とは言えない。

 国会での審議・議決すら経ないで、巨額の経済的負担を原子力発電事業者以外に転嫁させようとすることなど到底認められない。「ゆがめられた行政」と言わなければならない。

7 情報公開を求める
 第45条の21の7「各一般送配電事業者が回収すべき廃炉円滑化負担金の額等の通知」については、このような規定を設けるよりも、全ての申請書類は決定する前に官報に公示して情報を公開すると共に、第三者委員会において調査・審議を行うべきである。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.268(2017年9月24日発行)より。

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