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脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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柏崎刈羽原発の適合性審査書(案)を批判する――東電に動かす資格はない(第2回)
 柏崎刈羽原発の適合性審査書が10月4日に決定され、公表された。その問題点の指摘第2弾である(第1回は1/17に掲載)。

6 原子炉制御室及びその居住性等に関する手順
 「炉心損傷を判断した後に現場作業を行う場合には、運転員の内部被ばくを低減するために全面マスクを着用する手順に着手する。この手順では、現場作業を行う運転員が全面マスクを着用する。なお、重大事故時においても、中長期での運転操作等の対応に支障が出ることがないよう、運転員等の被ばく低減及び被ばく線量の平準化のため、長期的な保安の観点から運転員の交代要員体制を整備する。」これはあまりにも非現実的な対応だ。

 前段と後段では運転員の役割が異なる。緊急時対応と運転管理保守対応とは、異なる作業だ。緊急時対応でも要員の交代を逐次行う必要がある。
 しかし福島第一原発事故で経験した通り、全面マスクが必要な環境において作業を強行したり人員を交代させることは極めて困難であるだけでなく、想定しているような電源喪失環境においては中央制御室で温度や水位を計測できず、高線量環境で作業を余儀なくされる場面も想定される。

 これは炉心の大規模損傷を起こした後の対処についてだから、中央制御室は収束作業用としては機能していないと考えるべきだ。炉内や格納容器への代替注水システムを準備している新規制基準下において、どうして無理に中央制御室や建屋内部に作業員や運転員を送る必要があるのか。

 建屋からは撤収して、緊急時対策所(以下緊対所)や第二制御室、オフサイトセンターで冷却や事故収束の指揮を行う方向に規制基準では対応を変えるべきだ。福島の教訓が生かされていない。

7 免震重要棟が緊急時対策に使用出来ない欠陥
 柏崎刈羽原発では、免震重要棟は要求される耐震性を有しないため、緊対所としては失格し、代替として5号機原子炉建屋内に設置することとされた。
 緊対所は新規制基準において、基準地震動による地震力に対し免震機能等により機能を喪失しないようにするとともに、基準津波の影響を受けないこととされている。

 免震重要棟の建設は、もともと中越沖地震により柏崎刈羽原発の緊対所が使用不能となり、露天(駐車場)で緊急対応を迫られたことから、当時の新潟県知事の要請により作られた。
 2010年に水平展開で福島第一原発と第二原発にも完成していたことで、特に第一原発では地震の揺れや建屋の爆発に影響されなかったことを当時の清水正孝社長が証言している。
 中越沖地震を遙かに上回る地震の発生を想定しているため、中越沖地震の揺れをベースに建設した免震重要棟が耐震性能不足となった。免震重要棟に最も近い1号機について解放基盤表面で1700ガルだった中越沖地震に対し、2300ガルの地震動である。免震重要棟の土台で変位75センチを超える揺れが生じることが想定されたため、緊対所が5号機原子炉建屋に移された。

 しかし原子炉建屋がいくら揺れに耐えきれるとしても、内部がどうなるか、外部との接続がどうなるかは未知である。
 一般的に建物がいくら頑丈でも、大きな揺れを小さく抑える能力が無ければ、生存性、活動継続性に重大な影響を与える。免震の場合は、地面の揺れが700ガルでも、建屋内部は200ガルと3分の1以下に下げられるという。一方、原子炉建屋3階の緊対所は揺れが増幅するので1000ガルにもなるだろう。物が吹き飛ばされる揺れだ。

 特に建物の密封性能が影響を受ければ、建屋から事故収束の指揮を取ることも極めて困難になる。
 東京電力は5号機内の緊対所を仮の施設と位置づけ、山手側に新たに施設を建設するとしているが、現状では耐震構造であって免震機能を備えていない。

 緊対所は重大事故等が発生した場合でも、適切な措置が講じられなければならないが、これでは原子炉等規制法第61条及び重大事故等防止技術的能力基準1.18項における要求事項にも対応せず、適切に整備されたものとはいえない。
 東電は改めて基準地震動に見合った設計をして免震棟を建て直す必要がある。

8 水蒸気爆発が発生する可能性を無視
 原子炉圧力容器外の「溶融燃料冷却材相互作用」で生じるケースでは、「一定の水蒸気爆発は除外し圧力スパイクを考慮すべきであることを確認した。」などと、さしたる根拠もなく水蒸気爆発の可能性を排除した。

 水蒸気爆発が起こらないことにしたのは、それを前提とした場合、格納容器の密閉性能が維持できないからと思われる。
 水蒸気爆発を想定した場合、どの程度の損傷を格納容器が受けるかを明らかにすべきだ。格納容器は破壊されるかどうか、水蒸気爆発の実証実験も行われているのだから。
 また、欧米は最新の原発ではコアキャッチャーを採用しているのに対し、「格納容器下部に予め2mほど水を溜めて溶融燃料を受け止める」という世界に例のない、危険な重大事故対処方針を決定している。高温の溶融燃料が特定の条件で水に落下した場合、常識的に考えても水蒸気爆発の可能性が高まることを考慮すべきだ。

 過去の実験結果のうち「水蒸気爆発が発生したKROTOS、TROI」の結果を切り捨て、水蒸気爆発は実機において発生する可能性は極めて低いとの主張をした根拠は申請書を見ても不明確だ。
 解析においても水蒸気爆発の可能性は示されているのだから、圧力容器外の溶融燃料対策として格納容器の水張りは誤っている。なお、この水張りの運用については、原発の当直長が危険性を察知すれば実施することができるという。

9 水素爆発の危険性も軽視
 水素濃度の解析において東電は「炉心の露出から再冠水までの間に、原子炉圧力容器内の全ジルコニウム量の約16.6%が水と反応して水素ガスが発生する。これにより、事象発生直後から原子炉格納容器内の水素濃度は13vol%(ウェット条件)を上回る。また、水の放射線分解によって水素ガス及び酸素ガスが発生する。」「ドライ条件に換算したドライウェル内の酸素濃度は、事象発生の約5時間後から約18時間後まで5vol%を上回る」のだけれども、「この期間はLOCA破断口からの水蒸気によりドライウェル内が満たされ、ドライウェル内の酸素濃度は約0.2vol%(ウェット条件)であり、5vol%に達しない。」などとしている。要は水蒸気の量が多いうちは水素があっても爆発しないと決めつけている。

 規制条件では「原子炉格納容器が破損する可能性のある水素の爆轟を防止する。(ドライ条件に換算して水素濃度が13vol%以下又は酸素濃度が5vol%以下であること。)」という要求をしているが、これを柏崎刈羽原発は少なくとも13時間にもわたり満たしていないので、本来は運転することは出来ないはずだ。

 LOCA時、つまり冷却材喪失が起きて圧力容器などから冷却剤が格納容器内に噴出し、蒸気で充満している状態といった、特定の条件を加えて規制条件をクリアするとの考え方は、福島第一原発事故の教訓を生かしていない。

 福島第一原発1号機では、合計500トンもある「ウエルプラグ」と呼ばれるコンクリートの遮蔽蓋(3層構造でそれぞれ三分割され、合計9ピースで放射線の遮蔽が目的)が持ち上げられて落下したことが分かっている。格納容器の外側で、建屋の最上階の空間とを仕切っているプラグが持ち上げられて落下したのだから、爆発がプラグの下でも起きていたことを示唆する。

 1号機が水蒸気爆発を起こした時点では、既に圧力容器は破損しており、大量の冷却材が格納容器内に漏出していたはずだ。水素爆発で吹き上げられたプラグと格納容器の間でも水蒸気が充満していた。それでも水素爆発は起きたのである。

10 経済性問題
 東電には経理的基礎(原子炉等規制法43条の3の6)がない。
 約22兆円もの「債務」を抱えている東電は、原発を動かす経理的基礎がないから、原子炉等規制法上は柏崎刈羽原発の運転は出来ないはずである。

 柏崎刈羽原発が再稼働をすれば1基あたり年間最大900億円程度のコスト削減ができる(年間900億円の利益を捻出すると同義)とする「新々・総合特別事業計画」(新々総特)の「皮算用」は、そもそもあり得ない。
 2020年には電力自由化の最終段階である総括原価方式の廃止が予定されており、原発の費用をいくらでも原価に算入できる時代ではない。

 また、原発は基本的にはベースロード電源であると規定され、キロワットあたりの単価も安く、原発の運営費用を捻出するので精一杯だ。そうでないというのならば、総括原価方式がない段階でのキロワットあたりの価格と、年間の発電電力量を明らかにし、さらに原発に要する必要経費を示し、収益が1基あたり900億円に達することを証明するべきだ。

 また、1基あたり900億円の利益が出たとしても、それまでに投じた費用が6800億円以上あるので、運転から7年余は利益が出ない。2基動いていても3.5年余は利益が出ない計算だ。
 税金を湯水のごとく投じている東電は、そのことも織り込んだ上で経理的基礎があることを明らかにする義務がある。

11 柏崎刈羽原発2~4号機について
 新々総特では、柏崎刈羽原発の再稼働を4基と3基に分けて書いている。2~4号機については現時点で他の4基とは異なる状態にある。
 東電によると、驚くことに2~4号機は依然として10年以上前の中越沖地震の後で開始した耐震強化工事中だという。新規制基準の要件を満たすどころか、中越沖地震により損傷したり脆弱性が分かったところの補強工事中である。

 新々総特では7基稼働をも想定しているが、そもそも破損が大きい原発を組み入れる想定こそ、ありえない。
 東電は現状を正直に公表しなければならない。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.271(2018年1月14日発行)より。

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