脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
05 | 2017/06 | 07
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

事故直後から準備されていた「次の核事故」リスクコミュニケーション対策
 東北地方太平洋沖地震により発生した東電原発事故から、12月で4年9カ月。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるが、事故収束のメドも全くついていないばかりか、増え続ける汚染水にも何ら解決手段が見当たらない状態、さらに福島県内での小児甲状腺がんが3.11以前の発生率に比べてケタ違いに増加してきているなど、今後われわれ国民が受け得る影響、被害という「熱さ」は「喉元」を過ぎるどころか、いまだその全貌は誰にも想像すらつかないままである。

 このような未曾有の危機が悪化の一途に向かっているにもかかわらず、安倍政権は「原発に依存しない経済を目指す」とした選挙公約をアッサリと反故、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、事故の原因究明も反省も無きまま九電川内原発を再稼働、さらに四国電伊方原発の再稼働まで目論んでおり、「原発に依存しない」どころか「原発回帰」を加速し続けている。

 そんな政府が原発事故以降、懸命に行ってきたことが、原発事故収束作業でもなければ原発事故被害者の救済・補償でもなく、「いかに原発事故の現状、影響、被害から国民の目を逸らすか」であり、「いかに何事もなかったかのように核汚染地域に人を住まわせ続けるか」であったことを、私たちは今一度確認しておく必要がある。これは、3.11直後の民主党政権から現安倍政権に至るまで一貫していることだ。

 だが、いかに政権がメディアを駆使して国民の目を真実から逸らせようとも「事実」を消すことは不可能だ。福島県では、事故当時18歳以下の子どもたちを対象に甲状腺検査を行っているが、平成27年11月30日現在、平成23年度から25年度にかけて行われた1巡目の「先行検査」では114人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」と診断(うち、手術によりがん確定100人、良性結節1人)され、平成26年度からの2巡目の「本格検査」では、新たに39人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」があると診断(うち、手術によりがん確定15人)されたのである。

 日本では数少ない疫学専門家の岡山大学大学院の津田敏秀教授は、「Epidemiology」という権威ある疫学専門の医学誌に、これら甲状腺検査で得られた結果を疫学的手法により分析した論文を発表した。それによると、潜伏期間を4年として、ほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの甲状腺がん発症率(100万人あたり3人程度)と比較した場合、福島県中通りの中部で約50倍、東電原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍と、スクリーニング効果や過剰診断では説明不可能な甲状腺がんの多発が明らかになったという。

 津田教授は「これらの分析結果について海外では、関心は大いに持たれたものの、高すぎるという反応以外には、違和感なく受け入れられてきた。スクリーニング効果や過剰診療での説明がなされている日本国内と大きなギャップを感じている」と述べ、いまだに「原発事故の影響とは考えにくい」としている検討委員会による「公式見解」と、それに基づく行政の不作為を批判し、早急な対応の必要性を訴えている。

 一方、事故発生直後から「住民の被ばく量は少ないので被ばくによる健康被害は起こらない」と言い続けている人たちがいる。例えば南相馬市などで活動している東京大学の医師や科学者たちだ。彼らは発災数カ月後より南相馬市を中心にホールボディカウンターを用いて住民の内部被ばく調査を継続、そのデータを次々に論文として発表しているが、いずれも「住民の内部被ばくは測定機の検出限界以下であり著しく低い」とするもので、さらに避難住民の健康調査などから、避難生活に起因する疾病のほうが被ばくによる健康影響より懸念すべきなどとして、住民の被ばくに対する不安を払拭することこそが被災地の復興に重要である、との意見発信をメルマガなどを用いて精力的に行っている。

 しかし、そもそもこの装置は体内に取り込まれた放射性物質が発するγ線を検知するものであり、内部被ばくの影響として本来重要であるα線やβ線を発する核種による内部被ばくは評価できない。また尿検査など生体試料を用いた検査に比べ著しく感度が悪いことなどから、放射線被ばくの専門家は、「ホールボディカウンターを用いた住民の内部被ばく検査を行うことの本質は、まさに『内部被ばく隠し』に他ならない」と批判している。

 原発事故により放出された膨大な量の放射性物質に、福島県民のみならず東日本一帯の国民が「曝露」されたという明確なファクトがあるにもかかわらず、「不検出」という調査結果こそがファクトであるとして、住民を集めてはリスコミ(リスクコミュニケーション)と称して勉強会を開き、「不検出=被ばく無し」とのスリコミをし続けている医師たちの活動は、一見、不安を抱く住民に寄り添う篤志ある支援と見紛うが、その本質は、核事故被害者、被ばく者の「切り捨て」という国策と、電力会社の企図を補強する活動であることに他ならない。

 今後次々に再稼働される原発は、いずれ遠くない将来に核事故を起こすだろうが、このような「福島だって大した被ばくじゃなかった」「万一事故が起きても被ばくを心配して避難するほうが体に悪い」といったリスコミ対策がすでに産官学一体となり着々と準備されている。これが「次の核事故被害地」にて「粛々と援用」されていくのだ。原発事故による「熱さ」などそもそも無い、そんな作られた空気に非常に強い不気味さを感じる。(KT)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.252(2015年12月6日発行)より。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://todenkabu.blog3.fc2.com/tb.php/242-f1db6c5c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

脱原発・東電株主運動事務局

Author:脱原発・東電株主運動事務局
私たちは1989年以来、株主の立場から脱原発を訴えています。ぜひ会員になって活動を支えてください。株主でなくてもなれます。ニュースを年10回発行。年会費2500円です。
郵便振替口座 00180-3-653582(加入者名:脱原発・東電株主運動)

カテゴリー

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最近のコメント

最近のトラックバック

RSSフィード

過去ログ