脱原発・東電株主運動
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電力自由化と気候変動――世界の流れに逆行し、石炭火発乱立と原発温存に進む日本
 4月から始まる電力小売全面自由化に向け、どこの切り替えようかと頭を悩ませている人も多いと思います。電力会社を自由に選ぶ権利を得たものの、今の状況は、残念ながら再生可能エネルギー(再エネ)を消費者が選択でき、社会全体で再エネを増やす制度にはなっていません。

 電力小売事業者に電源構成の表示義務はなく、今年になって堰を切ったように始まった各社の「電力広告合戦」は、付加価値をつけた“安さ”だけが強調され、どんな電源構成かも分からないものばかりです。

 電力自由化は、私たちが求めるようなエネルギー転換に向かうのではなく、単なるコスト競争だけに晒され、時代に逆行するエネルギー社会への扉を開けてしまったのではないかという危機感を覚えます。とりわけ「安価」な石炭火力発電(石炭火発)へのシフトは、今の日本で危機的状況です。

 2011年の原発事故後、政府は電力システム改革と同時並行で、エネルギー基本計画の改定やエネルギーミックスを決定してきました。2013年6月にまとめられた「日本再興戦略」では、①高効率火力発電の徹底活用、②環境アセスメントの明確化・迅速化、③民間企業が高効率な火力発電に円滑に投資できる環境の整備、などが掲げられ、石炭を含む火力発電の推進体制が敷かれます。

 そして、エネルギー基本計画では「安価」で「安定」であることを理由に、原発とともに石炭を「重要なベースロード電源」に据えました。その後、政府の“お墨付き”を得た大規模石炭火発の新規建設の計画が急増していきます。

 計画の中には、電力会社に加え、大手ガス会社が出資する大規模石炭火発などもあり、環境アセスで環境大臣から「是認できない」との意見が公表されながらも、それを無視して次の手続きに進んでいます。

 一方、環境アセスの対象外である、11.25万kWを少し下回る10~11.2万kWの石炭火発もこの2年間に全国で乱立しています。環境アセスの手続きが不要な分、早ければ2016年から稼働する計画もあり、まさに電力自由化後に、石炭火発が小規模なものから大規模なものまで次々と稼働しかねない状況です。

 現在、分かっているだけでも、大小あわせて約47基の石炭火発の新規計画があります。どんなに「高効率」で「最新型」であっても、石炭火発のCO2排出量は天然ガスの約2倍と非常に大きく、持続可能な電源とは言えません。

 一方で、大手電力会社と新電力大手23社は昨年7月、「電気事業における低炭素社会実行計画」を発表し、「2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度」とすることを目標に掲げました。日本で最高効率と言われる石炭発電技術USCでも約0.83kgCO2/kWhありますから、この目標を大幅に超えます。

 つまり0.37kg-CO2/kWhにするためには、原発を中心とする「非化石電源」とのミックスにするか、海外からクレジットを購入するなどしてバランスしなければなりません。石炭を進めることは、原発依存の体制を温存するリスクを多分にはらんでいます。

 気候変動問題が顕著になった今、とりわけ欧米社会では石炭火発からの脱却に向かって、様々な政策導入や投融資の引上げなどが行われています。イギリスは2025年には既存の石炭火発から撤退することを決めるなど、EU諸国は再エネを増やし石炭をやめる方針がとられています。

 米国は、オバマ大統領の気候行動計画にもとづき、環境保護庁が事実上の石炭火発規制案を提案しています。昨年12月にCOP21で合意された「パリ合意」にもとづき、「脱石炭」の流れは世界的にさらに加速するでしょう。

 再エネを大幅に増やし、原発や石炭などの既存の電力システムからは脱却していく、そうしたエネルギーシフトを実現するために、気候変動対策としては炭素税や排出量取引制度、あるいは石炭火発の規制強化などの実効的な対策が各国でとられています。

 日本は、原発・石炭依存という時代を読み誤った政府の政策方針のもと、電力自由化の価格競争によって、石炭火発乱立と原発温存に拍車がかかっています。電力小売事業者が消費者獲得競争に力を入れている今こそ、消費者はしっかりと各企業の姿勢を問い、原発や石炭に依存していないかを確認しながら、電力会社を選択していくことが求められているのではないでしょうか。(気候ネットワーク M)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.253(2016年1月17日発行)より。
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