脱原発・東電株主運動
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熊本地震が示す地震危険度 川内・伊方原発に迫る危機
 2月号(No.254)で、九州電力が免震構造の「緊急時対策所」設置を計画していたのに撤回し、耐震構造の「支援棟」建設で誤魔化そうとし、それが関西電力などに波及していることを批判した。
*「免震棟建設を見送る原発 川内が良いのならと他も追随」参照。

 その直後に発生した「熊本地震」により、震源が原発に迫る可能性も否定できない中で、再稼動からわずか半年で新たな危機に直面することになった。
 「免震重要棟」は、原発にどんな教訓を示したのか。

 福島第一原発に免震重要棟がなかったら、東京も避難地域になっていた。3000万人の避難が現実のものとなっただろう。そのことは吉田昌郎所長や清水正孝社長(いずれも当時)の証言により明確だ。

 その後、国の運転認可は原子力規制委員会による規制基準適合性審査を経たものに出されることになった。福島の教訓を踏まえて、必ず作ることを求められたのが「免震構造の建屋に設置される緊急時対策所」だったはずである。

 規制委員会が策定した規程『実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈』第61条に『a)基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにするとともに、基準津波の影響を受けないこと』と規定したのである。すなわち、緊急時対策所が免震機能を有することを求めていると解釈するべきだ。

 同第39条の規程には地震による損傷の防止として『例えば、設計基準事故対処設備は剛構造であるのに対し、特定重大事故等対処施設に属する設備については、免震又は制震構造を有することをいう。』と明確だ。

 なお、特定重大事故対処施設とは、航空機の墜落やテロ攻撃による破壊を受けても炉心溶融を防止することを目的として設置されるものだ。
 基準地震動を超える「残余のリスク」によりもたらされる危機においても機能を維持し、過酷事故対策設備として使い続けることを想定している。

免震機能を要求する意味
 設置許可基準規則の解釈において、緊急時対策所に免震機能を要求していることの意味は何か。
 設置許可基準規則34条で、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に設けることを要求しているのは、原子炉を冷温停止させるために必要不可欠な制御室が使えない場合、代替手段として同等の機能を有する設備が必要になるからだ。

 今回の熊本地震のようなケースを例に取るならば、制御施設が使えなくなった場合、原子炉建屋ないし補助建屋にある制御室は剛構造の耐震構造であるが、緊急時対策所が同じ耐震構造であるとしたら、揺れにより制御室が損傷を受けるような規模であるとすると、同程度の強度である緊急時対策所も同じく使用不可能となる危険性が高いと見るべきだ。しかし緊急時対策所を免震構造にしておけば、そのリスクは明らかに低くなる。

 耐震構造(岩盤に岩着させて強固に作ること)で作られている原子炉制御室と、免震構造で作られている免震施設は、2種類の異なる構造で安全性をより強化した。
 設置許可基準規則の解釈で「免震機能等により」と明記している以上、規制基準の求める性能は、明らかに緊急時対策所を免震で建てることだ。

 原発そのものを免震構造で作ったとしても、安全性が向上するとは限らない。免震装置が重量構造物の原発を支えきれなければ耐震構造よりも脆くなるかもしれない。タービン建屋や使用済燃料ピット、補助建屋などを含めて免震構造にするのは既存の原発では極めて困難で、十分な効果を期待できるとは思えない。

 しかし基準地震動を超える地震を想定して作るならば、緊急時対策設備や電源設備は明らかに耐震よりも免震のほうが有効である。

法令に違反する九州電力
 熊本地震が起きている今でも、九州電力の原発には仮設の緊急時対策所しか存在しない。地震前に、免震構造で作るべき緊急時対策所を含む重大事故対処施設を、原子炉建屋と構造が同じ耐震構造で作るからと「撤回」しておきながら、震源が拡大し続ける今でも運転を止めるつもりがない九州電力の行為は、到底許されるものではない。

 設置予定だった免震構造による建屋は、地上3階建てで収容人員は300人。内部に事故対策の拠点となる緊急時対策所のほか、医務室や宿泊室、環境中の放射能測定をする部屋などを設ける計画だったという。(時事通信より)

 今の仮設緊急時対策所は収容人員100名程度とされるが、緊急時対策エリアはわずか170平方メートルで、大きめのマンション2部屋程度だ。汚染された防護服などを着替え、汚染がないかスクリーニングを行うスペース(チェンジングエリア)に至っては10平方メートル(6畳間くらい)しかない。ここで交代なしで最低1週間持ちこたえろというのだから信じがたい。

 この安全対策の値切りを規制委員会が「結果的に」受け入れるならば、福島原発震災の教訓どころか、これまでの過酷事故対策の要求さえ放棄するものとなる。

 もともと「免震重要棟」と呼ばれる緊急対策施設が東電福島第一原発に存在したのは、中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発の教訓からであった。
 その必要性は2007年から明白であったのに、東電が新潟県から要求されてやっと建てたのである。もし福島にそれがなかったならば、地震とその後の爆発による爆風で大破した事務棟に居続けることになった従業員と下請作業員に大量の死傷者が出た後、全員が退避を余儀なくされたであろう。

熊本地震の示す脅威
 熊本地震は地震学者も「これまで経験したことのない」という特異な地震だ。
 歴史記録を見ると、このような展開は1596年にもあったことが分かる。慶長伊予地震(9月1日愛媛を中心に発生した中央構造線の地震)、慶長豊後地震(9月4日大分の別府湾の地震で、中央構造線と連続する別府湾-日出生(ひじゅう)断層帯の地震)、慶長伏見地震(9月5日、近畿地方の地震で、伏見城(指月伏見城)の天守や石垣が損壊、有馬-高槻断層帯か六甲-淡路島断層帯の地震)が数日間に連動した。この時は九州から近畿地方に至る中央構造線と近くの断層の長大な連動である。

 熊本地震は中央構造線に属する日奈久断層帯でマグニチュード6.5の前震が発生し、直後に隣接する布田川断層帯で7.3の本震が起こった。震源の広がりはその後も続き、南西側と北東側に立て続けにマグニチュード5クラスの地震を起こしている。

 これから川内原発や伊方原発の下が大規模に破壊されるような地震が起きないとは誰にもいえない。日奈久断層帯は八代海で海の中に消える。しかしなくなっているわけではない。厚い堆積土壌で海の断層は見つけにくい。その先にある甑断層にも連続しているかもしれない。
 また、日奈久断層帯と平行している出水断層は川内原発にも近い。
 どちらも原発に影響を与えることが分かっている断層だけに、これらが活動する危険も高まっていると考えるべきだろう。

 そして最大の脅威は、マグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生し、原発に大きな応力を加える可能性が高いことだ。
 大きな地震が起きれば、余震は続くが、同じ所ではしばらく大地震は起こらないと思われたが、今回はこれまでで3回しか記録されていない「震度7」が連続して起きた。もちろん原発の耐震設計で基準地震動を2度も連続して受けることは想定外だ。
 熊本地震のようなパターンは、地震学者のみならず事業者にとっても想定外なのだ。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.256(2016年5月15日発行)より。
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