脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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東電の闇――いま起きている報道されない大事なこと
凍土壁は失敗
 凍土遮水壁の1%ほどが凍っていないという推定を東電がしていると報道されている。この有様はいったい何か。

 東電によると、凍結していない場所には水の流れがあり、それを止めるためにセメントを注入するのだという。それで成果が出る根拠は示されていない。具体的な実験例があるわけでもない。またしても「希望的観測」で新たな資金を投ずる。その資金は東電のものではない。凍土壁の建設費用は国が出しているからだ。

 凍土壁は全て政府の「廃炉の研究施設などの整備費用」で賄われている。国民の税金だから湯水のように使っている。しかも、セメントを注入しても、それで止まるわけではなく、水の流れる速度を落とし、凍りやすくするだけという。だが流れが遅くなったとしても凍結する保証はない。それならば、最初からコンクリート壁で止めようとした方がよかった。

 東電が考えるところの「工事が完工したとき」が、どのような姿なのかも分からない。凍結した場合に陸側、海側の地下水の透水量がゼロになるものだと地元は考えていたが、東電は「そんなことは言った覚えがない」との立場だ。
 しかし、本当にゼロにならないことが「織り込み済み」というのならば、東電が凍土壁を稼働した後に計画していることと整合性が取れなくなる。

 計画では、凍土壁で地下水を止めた後にサブドレンも稼働させて建屋流入量を無くし、建屋内の汚染水を全て取り除く。その後に、建屋の漏洩個所を内側から補修して地下水の漏れ込みを無くすとしていた。中の汚染水を完全に抜くためには、建屋の漏水箇所を全て内側から閉じなければならないので、建屋内に入って作業を行う。

 ところが、いつのまにか完全止水はしない計画だと開き直った。具体的には毎日70トンの漏水が「目標量」だとされている。それでは建屋内の止水作業は出来ない。

 いまも凍土壁を越えてくる地下水の量は、実際にはほとんど減っていないのではないかとの疑惑が生ずる。この地下水が原発に到達する経路と量を、改めて説明しなければならない。例えば初期値は35m盤にどれだけの地下水があり、それが35m盤の井戸から汲み上げられる量と地下水として10m盤に行く量に切り分け、10m盤で凍土壁に到達する量とそれを超える量、サブドレン井戸で汲み上げられる量、建屋流入量、10m盤から4m盤に行く量、そこで汲み上げられる量、海に到達する量を計量する必要がある。

 凍土壁の建設前は、800トンの地下水が35m盤から流れてきて、400トンが建屋に、400トンが海にと計算されていたが、それがどうなっているのか。
 また、凍土壁で止まらない場合の第二の方法が何もない。もともと汚染水対策は国の主導で進められているから東電が独自に決められないとの立場であると思われるが、そうであっても第二の方法は考えておくべきだった。

「激変する環境下における経営方針」批判
 東電は7月28日に「激変する環境下における経営方針」という名の同日付東電取締役会作成の文書を公表して記者会見を行うと共に、政府と原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対して要請を行い、今後、廃炉や損害賠償費用の負担のあり方の検討を開始することになった。

 要するに、電力小売りの全面自由化による競争激化を口実に「当初見込みを大きく超えることになる費用負担は国の新たな支出で」との趣旨だが、これは東電の経営責任を国つまり国民の税金で肩代わりせよと言っているのに等しい。このような虫のいい話が、資本主義社会でまかり通ってよいはずがない。

 數土会長や東電経営陣は、廃炉費用の見積もりが立たず、損害賠償費用も含めて費用が「青天井」では経営できないと、筆頭株主である国に迫った。しかし実際にかかる廃炉費用の見積もり一つ示さなかった。
 これだけでも大変なことだが、それに加えて、この文章には読み捨てにしてはならない重大事項が多数書かれているので、いくつか批判する。

 「福島第一原子力発電所の廃炉に向けた体制強化」として「我が国の総力を結集した体制の構築を図」り、「ナショナルチャレンジのための連携強化を図る。」としている。これはいったい何を意味するのか。

 最悪の場合は、廃炉を東電ホールディングスから分離し、廃炉カンパニーごと日本原電を廃炉専業会社として、再編合理化することも含む話なのかもしれない。具体的な資金の流れと共に、現在の考え方がまったく明らかにされていない以上、そのくらいのことはやりかねないと警戒すべきである。もちろん、そんな体制にされれば、資金は東電だけでなく税金から湯水のごとく投入される。あるいは、電源開発促進税のような税制から投入するか、新電力を含む電力料金から投入される可能性もある。いずれにしろ国と東電が適当な会議体を作って決めてよい話では全くない。

 「復興への更なる貢献」として「帰還される被災者の方への安心生活支援等、福島相双地域における復興施策に対して最大限の人的・資金的貢献を行う。」といった記述がある。読み飛ばしてはならない。あえて「帰還者」「福島相双地域」と対象者と地域を局限していることが問題だ。これは例えば茨城県や福島市に住む被害者(社)、被災者(社)は「圏外」、また帰還しない人々も「対象外」とする姿勢とも読み取れる。

 なぜ「全ての被害者」への「安心生活支援、復興施策」としないのか。明らかに切り捨てであり認められない。放射能災害が都道府県、市町村境で止まるあるいは軽減されるなど科学的にもあり得ない。切り捨ては許されない。こういうところに書くべきことではないとして追及し、撤回させるまで批判すべきだ。

 「柏崎刈羽原子力発電所の早期再稼働が可能となる環境を整える。」との記述もある。この文章には期限が特に書かれていないが、経営方針は一般に単年度を指す。長期ならば長期計画などと書くものだ。つまりこれは具体的には、来年度に柏崎刈羽原発の再稼働の環境整備をすると宣言していることになる。

 県の技術委員会との議論も終わっていないばかりか、泉田知事の「福島第一原発事故の原因究明が終わっていない段階で再稼働のテーブルには着かない」との主張には一切答えてこなかったのに、このような文書で記載したことは、許されることではない。
 「世界的にもトップレベルの安全性確保により、国内外に対する原子力の社会的責任を果たしていく。」などと記載しているが、原子力防災体制に責任を持たない東電が世界的にトップレベルの安全性など確保できるはずもない。

 こんなことを主張するのであれば、柏崎刈羽原発が冬の気象条件で、30km圏内の住民を避難できる防災体制を、東電が責任を持って構築するべきであろう。

 この問題では東洋経済オンラインが「想定外の賠償・廃炉費用を誰が負担するのか」という記事を出している。信濃毎日新聞は8月24日に「福島の除染 国費投入の理由がない」との題で社説を掲載。「事故を起こした企業として何を最優先するべきなのか。改めて自問しなければならない。」と強く批判した。

 しかし、これだけの大問題にもかかわらず、東電の記者会見を報じた社はあったものの、東電の姿勢を批判、追及した社は残念ながらほとんど見当たらないのが現実だ。
 このような東電にまつわる大きな問題が、いま次々に持ち上がっている。これを追及していく必要がある。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.259(2016年9月18日発行)より。
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