脱原発・東電株主運動
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福島事故損害賠償訴訟 前橋地裁判決、東電と国の責任を認める
 1 東京電力は津波を予知したことを認めた!
 3月17日、前橋地方裁判所は、全国で提起されている東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の賠償を求める集団訴訟の中で初めての判決を言い渡しました。
 この判決は、福島第一原発事故の原因について詳細に事実を認定し、東電と国の責任について判断を示しています。
 判決は、原子力損害賠償法3条にもとづく東電の無過失責任を認め、民法709条の責任については請求ができないとして否定しました。
 しかし、判決は、2002年7月に政府の地震調査研究推進本部が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(いわゆる推本長期評価)について、この長期評価は、地震学者の見解を最大公約数的にまとめたものであり、考慮しなければならない合理的なものであること、長期評価が波源モデルを示していなくとも一般的な手法であったなどとして、東京電力に、原発の非常用電源設備を浸水させる程度の津波の到来について予見可能性があったことを認めました。
 さらに、2008年5月の段階で、東電設計の実施した津波シミュレーションの結果(いわゆる15.7メートルの津波シミュレーション)が東電の社内で共有されたことから、会社としてこのような津波を予知したと判断しています。この点は、東電役員の民事・刑事責任についても決定的な事実であり、株主代表訴訟や刑事裁判の判断にも影響を与えるきわめて重大な判断だといえます。
 そして、災害を回避するためにも、給気ルーバをかさ上げして、開口部最下端の位置を上げること、配電盤と空冷式非常用ディーゼルを建屋の上階に設置する、非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば事故は発生しなかったとして、事故の回避の可能性があったことを認めました。
 このように、事故の原因と東電の過失については、原告の主張をほぼ認める判決となっています。東京電力の不法行為責任は否定されましたが、以上のような過失の存在が、慰謝料の考慮要素とされています。
2 国の国家賠償責任を認める
 さらに、国についても、2006年9月に耐震バックチェックが開始され、同年10月には津波対策を急ぐよう電力各社に原子力安全保安院が指示した事実を重視し、それから約1年が経過した2007年8月頃の時点で規制権限を行使し、津波対策の改善を命令すべきであったとし、その権限の不行使についての違法性を認めました。この点も、きわめて重要です。
 これまで国は、原子力を推進してきた道義的な責任にもとづいて、様々な支援策を講じてきましたが、法的な責任はないという立場を貫いてきました。特に、国は、本年3月末をもって区域外避難者への無償の住宅提供を打ち切るという帰還政策を進めてきました。
 この事故による被害には、事故による避難も含まれます。国に法的責任があるとされた以上、このような避難者切り捨ての政策を続けることは許されません。直ちに帰還促進政策を見直さなければなりません。
3 損害の評価については不十分
 このように、事故の原因と法的責任の有無の判断については、判決は正当な判断を示しましたが、原告の皆さんに対する損害の評価については、きわめて低い水準しか認めませんでした。
 この事故は、地域で生活してきた住民の、生活と生業を根こそぎ奪い、地域で積み重ねられてきた人生そのものを破壊しました。ところが、判決は、避難区域内の原告ですら、既払金を除いて、最高額が350万円、最低額は75万円の賠償です。認定された被害額が少額であったため既払額を超えず棄却となった原告が72名中53名にも及びました。
 このような判決結果は、損害の正確な認定にもとづくものとは到底認められません。裁判所が、この事故の被害の深刻さ、とりわけ「ふるさとの喪失」という損害の深層をどこまで正確に理解していたのか、疑問に思います。
 原子力損害賠償審査会の定めた中間指針の基準は、行政による早期・最低限の救済策であり、それ以上の損害があれば、賠償されるべきことは、判決も認めています。
 にもかかわらず、正確な損害の評価をせず、あるべき賠償水準を認めなかった判決は、国の政策・財政に配慮して司法の役割を放棄したものといわざるをえません。続く全国の判決ではこの点の見直しを図ることが重大な課題となりました。
4 区域外避難について
 さらに、判決は、区域外避難者を避難区域内からの避難者と区別し、一層低い賠償しか認めませんでした。この点も、非常に残念です。
 区域外の原告らは、目に見えない放射線による健康への影響に不安を感じ、自らと子どもたちの安全を確保するために、その生活を犠牲にして避難をしたのです。
 福島では、公表されているだけで200人近い子どもに甲状腺ガンの発生が報告されています。リスクが科学的に否定できないものである限り、予防原則に従って行動することは合理的な判断・行動として認められるべきです。
 このことは、2012年に成立した子ども被災者支援法でも明確に確認されていたことです。この点の判断も、今後の先例としてはならないものだと思います。
海渡雄一(脱原発弁護団全国連絡会 共同代表)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.264(2017年4月9日発行)より。
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