脱原発・東電株主運動
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福島第二原発のゆくえ――福島への負担を強いる原発
  2017年3月8日、民進党は福島第二原発を廃炉にする法案を提出した。
 いつまでも宙ぶらりんのまま放置されていても、法的には東電が何も決めなければ先に進まないとして、原子炉等規制法に廃炉を規定する改正案という形式を取っている。
 具体的には、福島第二原発を特定原子力発電所と指定できるよう改正した上で「法施行後2年以内に適合性審査の申請がなされなかったときは、設置許可が取り消され、廃炉が確定する」との主旨の条文を追加する。
 確かに法で縛れば廃炉にすることは可能だ。しかし、国にその気があれば、廃炉は実現していた。
 東電は実質国営企業である。株式の過半数を有するのは原子力損害賠償・廃炉等支援機構だから、国の方針により廃炉を決めるのは容易い。つまり福島県や県内自治体の廃炉決議を無視し、現在に至るも福島第二原発を廃炉にしていないのは国の意志でもある。
 東電は繰り返し、福島第二のあり方について次のように説明している。
 「今後の扱いについては広く社会の皆さまのご意見や国のエネルギー政策の動向、廃炉作業のバックアップとしての役割として機能していることを含め、置かれている様々な状況を踏まえてしっかりと検討していかなければならないと考えています。」
 廃炉のバックアップ機能を果たすことと、実用発電用原発として存在することは、実は両立しない。バックアップ機能は発電所として稼働したら出来なくなる。資機材や人員を発電所にとって不必要に持つことになり、安全性を大きく損なう。発電所の片手間に廃炉作業が出来るはずもない。また、バックアップ機能の中には実規模試験などを含むだろうから、ますます不可能だ。
 国のエネルギー政策の動向を見るとは、東電によると「国が案を示したエネルギー需給の姿を実現する施策や原子力事業環境に関する政策などのことについて指しており、当社としては、こうした国が示すエネルギー需給の姿も含めて、総合的に勘案していく必要がある」という。これは再稼動を想定しているように思われる。
 福島県も県内市町村も第二原発の再稼動を認めるなどということは想定不可能だから、誰が見ても東電の福島第二については、どうにでも取れる表現で時間を稼いでいると思われる。
 その背景には、廃炉にかかる費用がある。第二原発の総見積額の概算2801億円に対し、引当金として積み立てた額は1913億円で、まだ888億円不足している。最も少ない1号機で160億円が未引当額だというから、年間計上額8億円に対して、20年かかることになる。
 原発の廃炉引当金は当初50年間で引き当てる計画だったから、2016年現在で運転開始34年(1982年運転開始)では不足することになる。
 ただし、福島第二を廃炉にしただけで、ただちに債務超過になることはない。
損得勘定
 福島第二原発は動かすあてもないが、福島第一原発のように「特定原子力発電所」として指定されているわけでもない。「特定原子力発電所」とは、原子炉等規制法第64条の2に規定される原発。重大事故を起こした後に「保安又は特定核燃料物質の防護につき特別の措置を要する施設」として、指定下原子力施設を言う。
 第二原発も過酷事故一歩手前まで行ったが、炉心溶融などは免れたため、特定原子力発電所に指定されていない。
 その福島第二原発を現状のままで維持するには莫大な費用がかかる。
 使用済燃料プールに入っている燃料を冷却する費用、原子炉等規制法に規定される原発である限り求められる、安全保護設備を維持管理するための費用、維持管理に当たる人件費などで年間1600億円以上もかかっている。一方で生み出す利益はゼロである。
 廃炉にしても、これらの費用がゼロになるわけではない。当面は同程度の費用はかかり続けるだろう。しかし費用を減らす対策は、運転を前提としている原発と同様の安全性を要求される現状よりは実施しやすい。例えば、燃料プールから使用済燃料を全部乾式貯蔵に移せば、原子炉とプールを冷却するシステムの全てがメンテナンス不要になるし、監視も必要なくなる。
 一方、「廃炉引当金が足りない」などの経済的理由が廃炉決定を遅らせているのではなさそうである。金額としては大きいが、全部を廃炉にしても単年度の利益を超えるほどではない。
 この背景には国の意向が強く働いていることは確かだ。
柏崎刈羽原発の損得勘定
 原発の費用は2014年度5486億円、2015年度6063億円と、有価証券報告書に記載されている。この巨額の費用が東電の経営を圧迫しているのは間違いない。柏崎刈羽原発だけで、この5年間で6800億円に達する。

 1~4号機のある「荒浜側」は、地盤が特に悪く、地震により深い場所まで液状化する可能性が否定できない。そのため巨額の費用を投じて作った防潮堤の基礎杭が液状化に伴う「側方流動」(液化した地盤が流れる現象)で折れてしまう可能性がある。
 これでは防潮堤が津波により倒壊してしまう。
 日本で初めて造った免震重要棟は、地震想定の誤りから新規制基準には適合しないことが2014年からわかっていたのに、東電は規制委にも県にも明確にしてこなかったため、田中委員長や米山知事から厳しく批判された。
 費用をかけてもかけても、再稼動どころか、動かせる可能性が消滅していく原発が、柏崎刈羽原発である。
 原発を全部廃炉にしたとしても、すぐにゼロになるわけではないが、なるべく費用をかけずに安全に保つ方法はある。
 停止している原発で最も危険なものは使用済燃料であり、それを冷却するプールの健全性と冷却システムの安定性がキーになる。しかし燃料を乾式容器に入れておけば、冷却は自然循環の空冷でよく、動力に頼らなくても冷却が保てる。また、容器の健全性は外観の観察で保てる。安全性と安定性の実績は米国で実証されている。地震と津波対策は米国にはほとんどないので日本独自の対策が必要だが、難しいことではない。
 再稼動をしないことを前提条件として、乾式貯蔵について地元と真摯に話し合う必要がある。(Y)

*脱原発・東電株主運動ニュースNo.265(2017年5月14日発行)より。
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