脱原発・東電株主運動
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柏崎刈羽原発の適合性審査書(案)を批判する――東電に原発を動かす資格はない(第1回)
 柏崎刈羽原発の適合性審査書が10月4日に決定され、公表された。内容もさることながら、東電の資力や立地地点の問題など本来は審査すべき事項が多くあったはずなのに、それらは審査対象になっていない。

 原子力規制委員会は異例の措置として、東電に対し廃炉への姿勢や安全対策への姿勢などを問う文書を発し、規制基準には法定されていない「会社の姿勢」を質した。しかし回答として東電が提出したのは、小早川社長個人の立場の、経理的裏付けも書かれていない一片の文書だった。

 これで良しとするならば、審査などいくらでも形骸化する。
 そこで、柏崎刈羽原発の適合性審査について、2回にわたり問題点を指摘する。

1 立地指針違反の原発
 この原発は「立地指針」に違反している。立地指針の正式名は「原子炉立地審査指針」。日本で最初の「原子炉施設の安全性についての科学技術的基準」として、1964 年5月27日に原子力委員会により決定された。当初定められた時には次のように記述されていた。

 「大きな事故の要因となるような事象、例えば、立地場所で極めて大きな地震、津波、洪水や台風などの自然現象が過去になかったことはもちろん、将来にもあるとは考えられないこと。」

 現在、文部科学省のホームページでは「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。」と書き換えられている。

 プレート境界が目の前にあり、中越地震、中越沖地震と度重なる内陸直下型地震を引き起こした「地震地体構造」上に立地する原発は、ここだけである。
 新規制基準では、この立地指針を審査基準にしていない。もし審査基準としたならば、マグニチュード6.8の中規模地震である中越沖地震で解放基盤表面の地震動が1,699ガルなどといった巨大な揺れになる場所に立地すること自体不適当となるはずだ。このような根本的な問題を解決できていない以上、廃炉とすべきなのだ。

 なお、中越沖地震で解放基盤表面の揺れが1,699ガルもあったのに、建屋の基礎板では680ガル程度と比較的小さな揺れになったのは、間の最大289mもある軟弱な地盤で揺れが減衰したからとされる。豆腐の上に立てられた原発と地元の人々が批判する所以である。

 軟弱地盤がクッションになり揺れを減衰するならば良いというわけではない。軟弱だから液状化するし、基礎板が支えきれずに不等沈下して傾いたり、土台ごとの変位量が異なり、配管等のつなぎ目を破壊するなど不測の事態を起こしやすい。

 実際に3号機では、外にあった起動変圧器と建屋がずれたため、繋がっていた配管が破断し、冷却用のオイルが漏れて火災になった。
 建屋の周囲も液状化し、大量の地下水や破損した消防用水配管からの水が建屋に侵入し、溢水事故になっている。

 これらの影響がどのくらいあるのか、設計基準を上回る揺れに襲われたのに、詳細な調査は技術的にも困難で、いくつかは解析と計算で「健全」としてしまっている。壁を貫通している配管や、線量が高く接近困難な場所などの測定不能、検査不能な場所をたくさん残したまま健全とされた恐るべき原発である。

 今後も、もっと大きな地震ならば、今度は長周期成分が増幅し、建屋の構造物の中でも大型のものに共振を起こして破壊する危険性が高まる。そんなところに立地したのである。

2 基準地震動の不確かさ
 柏崎刈羽原発では基準地震動の算定に大きな疑問がある。
 東電は否定しているが、佐渡海盆東縁断層が存在し、実際に活動した場合、現在の基準地震動を大きく超える大地震が発生する恐れがあることを見逃していることが第一点。

 佐渡海盆東縁断層とは、佐渡島と本州の間にある海盆の東側に沿って存在し、過去に繰り返し地震を起こしてきたと考えられる断層だ。
 海底地形には大きく撓んで変形しているところがあり、地震による変化と考えてもおかしくない。これはつながった海域、例えば最上舟状海盆などとも似ているという。

 基準地震動の設定のために安全側に立って地震地体構造を考えるならば、佐渡海盆東縁断層を含めた新潟県日本海側の地震活動を全体的に捉えなければならないから、それを含めていない現在の地震想定は誤りである。

 第二点は、基準地震動を荒浜側と大湊側で分け、倍半分もの差を付けている理由がわからないこと。
 新潟県沖では2007 年7月に中越沖地震が発生、マグニチュード6.8 と中規模地震にもかかわらず柏崎刈羽原発は3000 か所もの損傷を受けており、さらに7基のうち3基は地震時に稼働中で、その後現在に至るまで一度も稼働することがなかった。

 この地震では1~4号機の建つ荒浜側は解放基盤表面で1,699 ガルの揺れを推定したが、5~7号機の建つ大湊側は766ガルに留まるとした。
 基準地震動はこれを基に、荒浜側で最大加速度、水平2,300ガル、鉛直1,050ガルに設定したが、大湊側は水平1,209ガル、鉛直650ガルとしている。

 わずか1キロ程度しか離れていない、同一敷地内に存在する原発で、倍半分もの差があるとする根拠は何か。地震想定を殊更細かく行うことで、揺れに大きな違いがあるとすることは、前提条件が多少異なるだけ(発振地点が異なる等)で簡単に崩れてしまう。
 少なくとも、全域を水平2,300ガル、鉛直1,050ガルに統一して設定するべきではないか。

3 耐震重要度分類の不思議さ
 耐震重要度分類とは「耐震重要度に応じて、Sクラス、Bクラス、Cクラスに設計基準対象施設を分類することを要求」する基準だ。例えば、一次冷却材を閉じ込める「圧力バウンダリ」については全て耐震クラスSである。しかし圧力バウンダリに冷却材を注入する系統は全てSクラスにはなっていない。これは安全上重大な問題である。

 耐震重要度分類の矛盾については、吉田昌郎元福島第一原発所長も次のように証言している。
 「シビアアクシデント上は、MUW(補給水系)だとか、FP(消火設備系統)を最終注水手段として、何でもいいから炉に注水するようにしましょうという概念はいいんですけれども、設計している側に、本当にそれを最終的に注水ラインとして使うんだという意思があるんだとすると、耐震クラスをAクラスにするでしょう。それ以外のラインが全部耐震クラスAだし、電源も二重化しているようなラインが全部つぶれて、一番弱いFPと、MUWは今回なかったわけですけれども、そういうものを最後に当てにしないといけない事象というのは一体何か、私にはよくわからないです。」

 この中で耐震クラスAとしているところが、現状のSクラスである。吉田氏の発言は、原発の耐震安全性について最も重要な問題提起であるが、これに対して東電は、消防用水設備をSクラスと同等の強度を持たせる補強を行っているという。しかし最初からSクラス設備で設計施工をしていないことは認めている。

 巨大な発電所内部の消防用水設備を全て作り替えることは不可能であり、どうしても最初から設計したものより脆弱であるため、このような設備を使っての原子炉注水は無謀としか思えない。

 また、新設ないし増強した注入ラインについては、全て実機において注入できることを実際の運転圧力及び過酷事故時想定圧力を模擬して試験を行う必要がある。しかし実際には系統の一部の作動試験をしただけで、炉内や格納容器内に注水できることまで確認していない。

 3.11以前に行われた過酷事故対策による設備増強では、設置した後に稼働または成立性試験は行われていない。そのため、例えば過酷事故時に使用するよう設置されたラプチャーデスクが開いて、格納容器ベントラインが機能したかどうかすら、未だに分からないという信じがたい問題が生じている。

4 外部火災に対する設計方針の矛盾
 発電所敷地内における航空機落下等による火災と、大規模な自然災害または故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応について、航空機ないし大型航空機の衝突または故意の攻撃については記述しているが、前段の航空機の衝突と後段の「故意による大型航空機の衝突」には整合性がない。

 攻撃を前提とした航空機の衝突の場合、確率は何の意味も持たず、かつ、複数の同時攻撃を考慮するならば、原発の複数面に緊急時対応用注水システムを設置していても意味を成さない。これら航空機の衝突と故意の航空機衝突を殊更分ける意味がない。
 言い換えるならば、偶発的な航空機の衝突の確率や被害の大きさは、テロを含む武力行使に包含されるから、その対応に含まれるべきものだ。

 テロや武力攻撃による大規模損壊を想定して、それに対処できるかどうか、「大規模損壊が発生した場合における体制の整備に関して必要な手順書、体制及び資機材等が適切に整備」されているかを、東電は、できる限り具体的に明らかにする義務がある。

 なお、株主総会では弾道ミサイル攻撃や爆撃などの攻撃については国の外交防衛政策上の問題などとして明確な回答をしなかった。現在も大型放水銃などを放射能拡散防止策として挙げるものの、大規模損壊や放射性物質の拡散を生じない具体的対策が求められるのだから、対策を明らかにする責任がある。

5 津波による損傷の防止の不備
 「液状化評価方針の審査の過程において、申請者は、古安田層等の液状化に伴い荒浜側防潮堤が損傷し、津波が荒浜側防潮堤内敷地に流入する可能性があるため、当初荒浜側防潮堤内敷地の3号炉原子炉建屋に設置するとしていた緊急時対策所を大湊側敷地の5号炉原子炉建屋に変更するとともに、アクセスルートを変更することを示した。」としているが、この影響は単に荒浜側防潮堤内に留まらない。

 浸水が発生すれば、荒浜側4基の原発において、運転していなくても使用済燃料プール等の損傷などで過酷事故発生の可能性が生じる。燃料がメルトダウンをしなくても、冷却不能になったプールの被曝リスクは大きい。その際に6、7号機を運転していると危険度が更に高まることになる。

 一方、大湊側の防潮堤は津波想定が7.5mで、海抜12mの敷地に達しないことから、防潮堤は規制基準適合性審査の対象になっていない、自主対策設備とされる。
 しかし想定を超える津波に襲われれば、防潮堤が地盤の液状化に伴い機能しなくなるリスクを抱えていることになるので、クリフエッジは12mということになる。荒浜側の防潮堤がたまたま健在ならば、クリフエッジは防潮堤の高さ15mだから、逆転してしまう。稼働していない原発と稼働中の原発の脆弱性が逆転することは想定外だ。
 大湊側で防潮堤が液状化で倒れることは許されない。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.270(2017年12月10日発行)より。
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