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東電福島第一原発事故から8年! 減らないリスク、「帰還」の問題点 その1

脱原発・東電株主運動事務局

被曝と帰還問題
(1)「避難の権利」
 「自主避難」という言葉がある。一般的な避難と殊更に区別されている。保障の内容も大
きく異なる。国は2017年3月に区域外避難者への住宅支援を打ち切り、2018年3月には、避難指示が解除された地域の賠償も打ち切った。「いじめ」としか言いようのない仕打ちだ。
この国の冷たさと力の強いものの傲慢さ、市民の権利への無理解。
 「自主避難」者とは、行政による避難指示が出ていない区域から避難している住民を指す
用語だ。2017 年3月段階では1 万2500 世帯、約3 万2000 人あまり。国や福島県は「指示
がないのに勝手に逃げるな」として、安倍政権の今村復興大臣は当時、避難者支援の打ち
切りに関連し「本人の責任」と言い放った。
 「避難する必要性がないにもかかわらず、身勝手な過剰反応で避難した者」との位置づけ
だ。
 しかし風水害の報道を思い出して欲しい。避難指示が出る前に、或いは避難指示が出て
いない地域でも、身の危険を感じたら出来るだけ早く避難所にと、市町村は広報している。
これも「自主避難」である。誰の指示もないうちから自主的に身の安全を図るために行動
することの重要性は最近特に強調される。
 そして3.11 当時を思い出して欲しい。
 国も自治体も避難指示を出さなかった時間帯と場所で、多量の被曝を強いられた住民が
いた。原発から5キロ圏内の双葉郡内は言うに及ばず、北西方向50 キロ先の飯館村など
も酷かった。2012 年7月に避難指示が出たが、ヨウ素131 など短寿命の放射性物質による影
響を受けた後だった。
 待っていては命は守れない。だから自らの判断で避難したことを、なぜ否定されなけれ
ばならないのか。
 避難をした人々は何ら間違っていない。誰からも批判される謂われは無いばかりか、原
発事故で家も生業も奪われた上、理不尽な扱いを続けた国や東電に大きな責任があること
を強調したい。避難の根拠は言うまでもなく「被曝を避ける」ことにある。
 原発被災者、避難者に対するいじめが多発している。その背景には、権力のあるものが
日々見本を示している現実がある。避難者いじめは国の姿勢が誘発している。
<2019/2/20(水) 原発避難で国家賠償5件目 横浜地裁判決
動画掲載元:OurPlanet TV
(2)国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告
 避難するのは被曝を避けるため。では被曝の「許容値」はいくつか。
 放射線には「これ以下は安全」といった明確な「許容値」や「許容限度」は存在しない。
私たちは自然界から年2mSv(ミリシーベルト)程度を浴びるとされるから、法令上、人
工放射線を年1mSv 以上浴びることは原則として認められない。しかし例外として、医療
行為による被曝と仕事で被曝することは一定の範囲内で認めている。これは放射線被曝と
引き換えに「利益」を享受していると考える
からだ。 福島第一原発事故後は、年20mSv を超える線量が避難の基準とされた。これを超える
ならば帰還困難地域とされるが、下回れば避難指示を解除する。2011 年以前にはなかっ
た基準だ。
 避難した人々は、帰還により年1mSv 以上の放射線被曝をしてまで、どんな利益がある
のだろうか。自宅に帰ることだけが「被曝を押しても得られる利益」とは言えない。家に
帰っても基準以上の被曝をさせてはならない責任が東電と国にはある。まして、帰還を望
まない被災者を帰還せざるを得ない状態に追い詰めることは、してはならない暴挙だ。
 避難指示の解除基準はICRP 国際放射線防護委員会(放射線防護に関する勧告を行う
国際組織)の勧告(パブリケーション103・2007 年)に原典があるのだが、年20mSv 以
下は安全で避難指示を解除できるとは、一言も書かれていない。
 20mSv を上限とし1mSv までの範囲を「現存被ばく状況」として、その中でも低いほう
で被曝管理しながら居住すべきとしており、通常のレベルである1mSv を超える地域で
何の対策もせず長期居住するべきではないことも書かれている(パブリケーション111・2010 年)。
 具体的な居住可能「参考レベル値」としては「1 ~ 20mSv のバンドの下方部分か
ら選択すべきであることを勧告する」とし、10mSv よりも低い値を限度とすべきと読み取
れる記述になっている。
 年20mSv も10mSv も安全とはされておらず、1mSv を超えるレベルでの居住は、住民
が汚染地域に居住継続を望んでいる場合にのみ、行政が様々な対策をバランス良く設定し
て、居住を継続できる「参考レベル」の値を決めるべき、との考え方だ。
 さらに、被曝線量は常に監視されていなければならない。
 環境中に放射性物質が拡散した被災地の多くで除染が行われ、線量が下がったことから
帰還することとされているが、ホットスポットや原発からの追加放出がある現状では、管
理していなければ再び線量が増加することも否定できない。
 しかし県も国も被曝線量の管理は実質的に行っていないし、再度の除染もしていない。
 そして、最も大事なのは住民の意思である。
居住を望まないなら当然、避難を継続する権利を保障しなければならない。
 このように、ICRP 勧告と、日本で現在進められている避難指示解除の行政決定には大
きな乖離がある。
 科学的な知見では、年1mSv を超える水準では危険が伴うことは疑いがない。これを否
定する主張は採用すべきではない。危険が伴うことを承知で、住むことを認めることだけ
が解決ではない。被曝を避けつづける権利を認めることを保障して初めて、バランスのと
れた施策なのである。
 ICRP について私は「核兵器開発や原子力の推進が前提で、放射線のリスクを過小評価
している」と思う。しかし日本政府は、そのICRP 勧告さえ無視して二重基準を設け、住
民に被曝を強いている。
 今進行しているのは「100mSv 以下は安全」という新たな神話だ。福島差別の根源はここにある。
(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.281(2019年2月17日発行)
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Posted by脱原発・東電株主運動事務局

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