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東電が柏崎刈羽原発の再稼働準備を強行中

脱原発・東電株主運動事務局

 「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」は2020年10月26日、福島第一原発事故の原因を検証した報告書(福島第一原子力発電所事故の検証~福島第一原子力発電所事故を踏まえた課題・教訓~)を花角英世新潟県知事に提出した。
 新潟県が進める3つの検証、「福島第一原発の事故原因の検証」、「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」、「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」の一つだ。
 10月28日には柏崎刈羽原発の安全性についての会合を開き、再稼働についての議論も開始している。

 花角知事は技術委員会の安全性に関する評価も、再稼働の是非を判断する一つの材料としており、委員会は柏崎刈羽原発6・7号機の安全対策について20項目を確認していくという。(新潟日報10月28日より)
 一方で、検証委員会と花角知事の間では、委員会の役割を巡り見解の相違が表面化している。
 『原発の安全性に関する新潟県独自の「三つの検証」を総括する検証総括委員会の池内了委員長の発言が波紋を広げている。総括委が将来まとめる報告書に「東京電力柏崎刈羽原発7号機の再稼働に関し、是か非かも書き込む」とした発言だ。』(新潟日報12月21日より)
 池内委員長は再稼働の是否にも踏み込み、そのためにタウンミーティングを実施、さらに年に1、2回の会議を開催し、3つの検証委員会の進捗状況を共有化することを表明した。しかし知事はこれらを拒絶する姿勢を示している。


↑知事と総括委員会の見解に相違があるとの報道。

 では、その柏崎刈羽原発の現状はどうなっているのか。

1.柏崎刈羽原発使用済燃料プールの冷却停止
 新潟日報によると『核燃料プールの冷却ポンプ30分間停止 柏崎原発 関東の落雷影響か』として8月13日、柏崎刈羽原発1・2・3・6号機の使用済核燃料プールの冷却ポンプが午後3時すぎから約30分間停止したと発表した。
 同じ時間帯に関東地方で落雷による停電が起きた影響だったとされる。プールの水温上昇や、外部への放射能漏れはなかったとしている。
 柏崎刈羽原発内で使う電気は関東圏から送電(500kV送電線:新新潟幹線及び南新潟幹線)されている。発電所が稼働していれば自分の電気を使うが、発電していない場合は原発は巨大な「電力消費地」になる。
 停止した号機では冷却ポンプのほか、空調も停止した。しかし原発は停電しておらず、運転員がポンプの故障ではないことを確認して再起動させている。
 原因となった瞬時電圧低下は、1・2・3・6号機の使用済み燃料プール冷却ポンプを停止させた。4・5・7号機のポンプは瞬時電圧低下が生じても運転を継続できるよう「無停電電源システム」を有する設計であったことから停止しなかった。東芝設計の原発では止まったが、日立設計のものは稼働し続けたという。
 原因は、8月13日15時01分に発生した500kV新秩父線(柏崎刈羽原発から200キロは離れていると思われる)での落雷による系統動揺と東電は推定している。
 東電に対して、柏崎刈羽原発は新潟県内なので東北電力から送る設備はないのかと問うと、今回は原発が停電してはいないので東北電力からの供給を受けていないとのことだった。同様に非常用ディーゼル発電機も、停電しているわけではないので起動していない。
 所内電源はあるのに設備に電気が行かなくなる過去の例としては、構内電力線の発火で7号機への非常用電源が遮断される事故があったが、回復にも時間がかかっていることから、その時の教訓が生かされていない。

2.使用済燃料プール間の燃料移送
 東電によると「6号機の運転再開準備」として「6号機の使用済燃料プールに保管されていた38体の使用済燃料を3号機の使用済燃料プールへ輸送。(8月8日輸送完了)」。
 今後、7号機についても、「380体の使用済燃料を号機間輸送する予定。」としている。新規制基準になった後で、東電の原発で号機間または原発間の使用済燃料移送実績は初めてであり、再稼働への準備としてプールを空ける必要が生じたものと思われる。
 法令上、使用済燃料を貯蔵する設備については、例えばむつ市のRFS(リサイクル燃料貯蔵/東電と日本原燃が合弁で設立した使用済燃料中間貯蔵施設)のように新規制基準の適合性審査を通らなければならない。
 しかし東電は、号機間移送をする燃料体について次のように説明している。
 「今回移送した燃料体38体は1号機から発生した燃料体を6号機のプールから3号機のプールに移送する」「移送元である6号機のプールには1、2、5、6号機から発生した燃料が貯蔵可能、また、移送先である3号機のプールには1、2、3、5号機から発生した使用済燃料が貯蔵可能」。
 これは保安規定第85条(使用済燃料の貯蔵)により可能(ただし使用済燃料プールで35か月以上冷却した燃料の場合)とされる。
 だが、この規定は原発が運転可能な状態であることを前提としているのではないだろうか。移送先が新規制基準適合性審査を通っていない原発(1から5号機)など基準に適合していない施設である場合、使用済燃料を置いてはいけないはずだ。下位の保安規定で「合法」というのは無理がある。今回の移送は問題が大きい。
 安全上重大な事故にならないための対策を東電に問うたところ、「福島事故後にBWR5である1号機に対してもストレステストを実施し、建物の躯体や使用済燃料プール等の耐震性に問題ないことを評価しているほか、万が一の重大事故発生時に備え、発電所全体として、注水手段や水源等の必要な資源を確保しています。」との回答だった。
 しかしストレステストは法定検査ではないし、その結果も保安院がなくなった以後に規制委に引き継がれず、二次テストも行っていない。
 なお、東電は、新規制基準適合性審査にかかる費用の合計額について「中越沖地震以降の安全対策設備費の総額として1兆1690億円」としている。
 福島第一の廃炉費用や賠償、さらに自然災害対策など原発の安全性、電力供給の安定性確保に今後も費用がかかるから、柏崎刈羽原発は廃炉とし、最低限の費用に抑え、他の必要経費に資金を回すべきである。

3.再稼働準備段階で燃料装荷の暴挙?
 「事前同意なし? 核燃料いつ入れる 柏崎刈羽原発」(2020年10月9日朝日新聞)など、報道では柏崎刈羽原発について、柏崎市、刈羽村、新潟県の事前同意前に燃料を炉内に装荷する計画を明らかにしていることを報じている。これは、規制委に提出した6号機の工程表に記載されていたからだが、柏崎刈羽原発の石井武生所長も「(検査工程を)しっかり履行することが使命だと思う」と、燃料装荷が検査工程の中で行われることを認め、「燃料を入れた状態で設備を確認することも安全性向上に資する」と正当化した。しかしこれは詭弁だ。(なお、東電原子力センターに直接問うたところ、12月9日付の文書回答で「決まっていない」と答えている。)
 6号機の炉心には872体入る。平均濃縮度約3.5~3.8wt%のウラン燃料体で、その燃料装荷重量は約151トンである。
 燃料プールには使用済燃料が未だたくさんあるので、炉心に燃料を移せば2か所が危険性のある場所になる。燃料プールだけだったこれまでとは状況が変わる。
 東電は中越沖地震後の2008年に7号機の再稼働に際し、地元同意を得ない段階で燃料を装荷した経験があるとし、今回も問題はないと考えているという。
 それはあまりにも不遜な態度だ。
 中越沖地震では幸い冷却材喪失や炉心溶融、大規模な放射性物質の拡散もなく、合計4000か所の損傷を受けたとはいえ、再稼働への法的手続きについては、損傷箇所を補修すれば可能だった。
 今回はそれとは次元が全く違う。
 福島第一原発事故は東電が起こしたもので、このため甚大な被害が生じるとともに、その賠償さえ終わっていない。
 さらに原子力関係法規を変えさせ、原子力安全・保安院を廃止させ、規制委を作るという、原子力安全規制全体の大きな変化をもたらした。
 世界中の原子力安全規制に影響を与え、原発建設にブレーキがかかり、当時の「原子力ルネッサンス」(気候変動、温暖化対策と称する、80年代のような原子力増設への回帰)を吹き飛ばす結果になった。
 これと中越沖地震後の対応を同一視する神経がわからない。


↑ID不正使用と工事確認完了漏れで再稼働推進である商工会議所ですら抗議した様子。
ブログ管理者として驚いたのは、中央制御室入退室に生体認証制御を導入していなかったこと。

 規制委も更田豊志委員長自ら10月7日の定例会見で『「東電からは何も聞いていない」とした上で「普通に考えれば、起動の予定が立った上で(燃料)装荷などの手順が進んでいく」と述べ、「(再稼働の)予定がたっていないのに、先に装荷するというのは事実上ないと思う」と東電の姿勢に疑問を呈した。
 さらに、「燃料はやっぱりプールにあった方が(いい)」と述べ、稼働予定がない状態で原子炉内で長期間存在することに否定的な見解を示した。』(2020年10月9日朝日新聞)
 一般に、原発の「営業運転開始」とは、発電を開始し国の検査終了の時からをいうが、「再稼働」の場合は制御棒引き抜き操作を開始し原子炉を臨界にする「核加熱開始」からをいう。
 9月25日に提出した設計及び工事計画認可申請補正書で、安全対策工事の完了時期が2020年12月から21年4月に遅れることを明らかにしている。年末まで安全対策工事を進め、その後は設計通りに機能するかを調べる「使用前事業者検査」を行い、原子力規制庁からチェックを受ける。この過程では、原子炉に燃料を入れ(装荷し)て行う検査や、原子炉から制御棒を引き抜き、臨界にして実施する検査もあるとしている。
 これを工程表から読み取れば、12月末までに安全対策工事を終わらせ、構造、強度、漏えい試験をすることができる状態にし、21年4月までに制御棒駆動系統などの機能や性能検査を行うことが可能となる段階で燃料体を装荷する検査(例えば『高圧代替注水系設備』の使用前事業者検査)を実施し、国の検査を受審できる状態にする。その後に工事完了時の検査としての各種設備使用前検査を受審し、6月までに終了させるという。なお、工事の完工予定は12月24日の時点で「21年1月上旬にずれこむ」と修正されている。
 特定重大事故対処等施設については、2016年に設置許可変更申請を行っているが、規制委の審査は未だ続いており、現在は地質の評価と電源設備について議論が行われているとされ、完了の見通しは立っていない。特定重大事故等対処施設は工事が行われている段階だ(規制庁資料等による)。
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.297(2021年1月10日発行)より
(山崎久隆)
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Posted by脱原発・東電株主運動事務局

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