脱原発・東電株主運動
NUCLEAR PHASE-OUT TEPCO SHAREHOLDER'S MOVEMENT
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東電の闇――いま起きている報道されない大事なこと
凍土壁は失敗
 凍土遮水壁の1%ほどが凍っていないという推定を東電がしていると報道されている。この有様はいったい何か。

 東電によると、凍結していない場所には水の流れがあり、それを止めるためにセメントを注入するのだという。それで成果が出る根拠は示されていない。具体的な実験例があるわけでもない。またしても「希望的観測」で新たな資金を投ずる。その資金は東電のものではない。凍土壁の建設費用は国が出しているからだ。

 凍土壁は全て政府の「廃炉の研究施設などの整備費用」で賄われている。国民の税金だから湯水のように使っている。しかも、セメントを注入しても、それで止まるわけではなく、水の流れる速度を落とし、凍りやすくするだけという。だが流れが遅くなったとしても凍結する保証はない。それならば、最初からコンクリート壁で止めようとした方がよかった。

 東電が考えるところの「工事が完工したとき」が、どのような姿なのかも分からない。凍結した場合に陸側、海側の地下水の透水量がゼロになるものだと地元は考えていたが、東電は「そんなことは言った覚えがない」との立場だ。
 しかし、本当にゼロにならないことが「織り込み済み」というのならば、東電が凍土壁を稼働した後に計画していることと整合性が取れなくなる。

 計画では、凍土壁で地下水を止めた後にサブドレンも稼働させて建屋流入量を無くし、建屋内の汚染水を全て取り除く。その後に、建屋の漏洩個所を内側から補修して地下水の漏れ込みを無くすとしていた。中の汚染水を完全に抜くためには、建屋の漏水箇所を全て内側から閉じなければならないので、建屋内に入って作業を行う。

 ところが、いつのまにか完全止水はしない計画だと開き直った。具体的には毎日70トンの漏水が「目標量」だとされている。それでは建屋内の止水作業は出来ない。

 いまも凍土壁を越えてくる地下水の量は、実際にはほとんど減っていないのではないかとの疑惑が生ずる。この地下水が原発に到達する経路と量を、改めて説明しなければならない。例えば初期値は35m盤にどれだけの地下水があり、それが35m盤の井戸から汲み上げられる量と地下水として10m盤に行く量に切り分け、10m盤で凍土壁に到達する量とそれを超える量、サブドレン井戸で汲み上げられる量、建屋流入量、10m盤から4m盤に行く量、そこで汲み上げられる量、海に到達する量を計量する必要がある。

 凍土壁の建設前は、800トンの地下水が35m盤から流れてきて、400トンが建屋に、400トンが海にと計算されていたが、それがどうなっているのか。
 また、凍土壁で止まらない場合の第二の方法が何もない。もともと汚染水対策は国の主導で進められているから東電が独自に決められないとの立場であると思われるが、そうであっても第二の方法は考えておくべきだった。

「激変する環境下における経営方針」批判
 東電は7月28日に「激変する環境下における経営方針」という名の同日付東電取締役会作成の文書を公表して記者会見を行うと共に、政府と原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対して要請を行い、今後、廃炉や損害賠償費用の負担のあり方の検討を開始することになった。

 要するに、電力小売りの全面自由化による競争激化を口実に「当初見込みを大きく超えることになる費用負担は国の新たな支出で」との趣旨だが、これは東電の経営責任を国つまり国民の税金で肩代わりせよと言っているのに等しい。このような虫のいい話が、資本主義社会でまかり通ってよいはずがない。

 數土会長や東電経営陣は、廃炉費用の見積もりが立たず、損害賠償費用も含めて費用が「青天井」では経営できないと、筆頭株主である国に迫った。しかし実際にかかる廃炉費用の見積もり一つ示さなかった。
 これだけでも大変なことだが、それに加えて、この文章には読み捨てにしてはならない重大事項が多数書かれているので、いくつか批判する。

 「福島第一原子力発電所の廃炉に向けた体制強化」として「我が国の総力を結集した体制の構築を図」り、「ナショナルチャレンジのための連携強化を図る。」としている。これはいったい何を意味するのか。

 最悪の場合は、廃炉を東電ホールディングスから分離し、廃炉カンパニーごと日本原電を廃炉専業会社として、再編合理化することも含む話なのかもしれない。具体的な資金の流れと共に、現在の考え方がまったく明らかにされていない以上、そのくらいのことはやりかねないと警戒すべきである。もちろん、そんな体制にされれば、資金は東電だけでなく税金から湯水のごとく投入される。あるいは、電源開発促進税のような税制から投入するか、新電力を含む電力料金から投入される可能性もある。いずれにしろ国と東電が適当な会議体を作って決めてよい話では全くない。

 「復興への更なる貢献」として「帰還される被災者の方への安心生活支援等、福島相双地域における復興施策に対して最大限の人的・資金的貢献を行う。」といった記述がある。読み飛ばしてはならない。あえて「帰還者」「福島相双地域」と対象者と地域を局限していることが問題だ。これは例えば茨城県や福島市に住む被害者(社)、被災者(社)は「圏外」、また帰還しない人々も「対象外」とする姿勢とも読み取れる。

 なぜ「全ての被害者」への「安心生活支援、復興施策」としないのか。明らかに切り捨てであり認められない。放射能災害が都道府県、市町村境で止まるあるいは軽減されるなど科学的にもあり得ない。切り捨ては許されない。こういうところに書くべきことではないとして追及し、撤回させるまで批判すべきだ。

 「柏崎刈羽原子力発電所の早期再稼働が可能となる環境を整える。」との記述もある。この文章には期限が特に書かれていないが、経営方針は一般に単年度を指す。長期ならば長期計画などと書くものだ。つまりこれは具体的には、来年度に柏崎刈羽原発の再稼働の環境整備をすると宣言していることになる。

 県の技術委員会との議論も終わっていないばかりか、泉田知事の「福島第一原発事故の原因究明が終わっていない段階で再稼働のテーブルには着かない」との主張には一切答えてこなかったのに、このような文書で記載したことは、許されることではない。
 「世界的にもトップレベルの安全性確保により、国内外に対する原子力の社会的責任を果たしていく。」などと記載しているが、原子力防災体制に責任を持たない東電が世界的にトップレベルの安全性など確保できるはずもない。

 こんなことを主張するのであれば、柏崎刈羽原発が冬の気象条件で、30km圏内の住民を避難できる防災体制を、東電が責任を持って構築するべきであろう。

 この問題では東洋経済オンラインが「想定外の賠償・廃炉費用を誰が負担するのか」という記事を出している。信濃毎日新聞は8月24日に「福島の除染 国費投入の理由がない」との題で社説を掲載。「事故を起こした企業として何を最優先するべきなのか。改めて自問しなければならない。」と強く批判した。

 しかし、これだけの大問題にもかかわらず、東電の記者会見を報じた社はあったものの、東電の姿勢を批判、追及した社は残念ながらほとんど見当たらないのが現実だ。
 このような東電にまつわる大きな問題が、いま次々に持ち上がっている。これを追及していく必要がある。(Y)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.259(2016年9月18日発行)より。
「東電株主総会の運営に関する質問書」への回答が届きました
 これまで私たちは毎年、東電株主総会の運営への要望を担当者に提出と同時に懇談し、更に総会終了後には「東電を反省させる会」を開催し、東電に運営方法などについて改善を求めてきました。

 しかし、私たちが文書で提出しているにもかかわらず、東電はこれまでほとんど回答らしい回答をせず、対応も電話で済ませるという誠意のないものでした。それに比べれば、今回の文書での回答は、誠意を示そうとする新しい担当者の努力であり、評価したいと思います。

 内容は、会場外で大きな横断幕を掲げた「しきしま会」や「放射能は怖くない」とするカラー冊子を配布した団体などとの関係を一切否定するもので、にわかには信じられないものです。

 かつての総会屋のように右翼団体によって株主総会の運営が支配されるような道には踏み込まないよう、民主的な総会運営になるよう、今後も監視し改善を求めていきます。(K)

「東電株主総会の運営に関する質問書」への回答

「東電に反省を促す会」報告
 8月5日に、東電に赴き、上記の会を東電担当者と行いました。東電側の連絡ミスで、当日担当者が揃っていませんでしたが、今回は明確な回答を求める「質問書」の形式だったため、来られる方だけということで行いました。東電側は、総務・法務室の3名。株主運動は5名の出席でした。

 今年の株主総会は、会場外にも在特会系の団体が大勢押しかけた異様な株主総会でしたが(「東電は右翼団体にひれ伏した」株主運動ニュースNo.258、8/3ブログ記事参照)、東電の担当者の認識はとても甘く、会場正面に設置された東電の看板を覆い隠すように、「しきしま会」の横断幕が総会終了後まで張られていたことを知りませんでした。
 その場所は、東電との事前打ち合わせの際に提示された見取り図では、アピール行動禁止区域に当たることの認識もありませんでした。

 また、取締役会が明確に反対した第2号議案「原発再稼働」の提案者に質問が出された際、「この提案は3名の株主から出されていますが、趣旨説明したヒガシカワ氏以外の2名の方はいらっしゃいませんか?」という会場への呼びかけも行わずに、提案後退席予告をしたヒガシカワ氏に代わって、議長と取締役が答えてしまったことの重大さも認識していなかったことに、更なる東電の崩壊を見ました。

 当日に提出した「東電株主総会の運営に関する質問書」(この報告の末尾に記載)のDに記してある、連続した2名の質問者のうちの女性は、昨年の最後の発言者と同じ人物であることも確認しました。この女性は、昨年は提案株主席の斜め後方に座り、口汚い言葉でヤジを飛ばし続けていましたので記憶に残っておりました。
 今年は議長席の正面マイク席の直ぐ後ろの席を目掛けて座り(「ここだわ」という声を聴いた株主が存在)、私たち株主運動の9名がそれぞれ趣旨説明をするあいだ中、書くのもはばかるような、提案内容とは無縁なヘイトスピーチで多用されている言葉を、趣旨説明者に聞こえるような声でヤジり続けていました。

 以上のことから推測されることは、「しきしま会」なる団体や2号議案提案者のヒガシカワ氏と東電は事前打ち合わせを行っており、その強硬な態度に屈してしまっているということです。私たちが脱原発を掲げて東電株主総会に乗り込んだ1990年頃はびこっていた「総会屋」よりも悪質な在特会系団体が、株主総会に入り込む道を与えてしまったと考えます。

 質問書以外に口頭で、以下の2点の要望をしました。
1)関西、中部、四国電力が既に実施している「議決権行使書の記入方法」と同様のものを次回の株主総会開催通知に同封すること。
2)総会での指名の公平を担保するために、米国企業で行われているような、会場での発言にあらかじめ希望を募り、そこから議長が抽選で株主番号を指名する方法を取ること。
 質問書と口頭での要望への東電の回答に関しては、追ってお知らせします。(K)

東電株主総会の運営に関する質問書
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東電は右翼団体にひれ伏した
 6月28日、東電株主総会は開催された。昨年同様9電力は同日開催され、同日開催への非難などなかったかのようだ。脱原発・東電株主運動が株主提案を始めてから26年目となった今年は、303名2503個(約25万株)で9件の議案を提出した。

 昨年は、3名のグループが原発推進議案を出し、会場内からも「再稼働推進」の意見が出され、脱原発の意見や質問には多くのヤジが飛び交ったが、今年は会場の空気だけでなく外の景色も変わった。

 会場の代々木体育館に着くと、東電の案内板の半分以上が見えないように在特会系の団体の大きな横断幕が張られ、日の丸の紋付きの着物を着た萌えキャラの幟も何本か翻っており、9時前にもかかわらず10人ほどがスタンバイ。その横には、右翼団体にはもれなく付いてくる公安が30人ほど。

 その後「日本製原発は安全です。」「原発即時再稼働せよ!」と書かれたパネルを持つ10人ほどが現れ、更に「放射線の正しい知識を普及する会」の12頁オールカラーの季刊紙を配布する人びとも到着。東電は私たちには正面からそれた場所を指定しておきながら、右翼団体には向こう正面の最高の場所を提供するという厚遇ぶり。東電が設置した案内板の表示が見えなくても文句も言わない。

 株主総会では1議案につき3分の制限時間の中、9名で趣旨説明を行った。その後の会場からの質問には、毎年「公平に」指名すると言いながら、いきなり私たち脱原発の提案株主が座るBブロックから立て続けに2名の原発推進者を指名するなどルール無視。推測だが、あらかじめ決まっていた人の隣の人を數土会長が間違えて指名したため、隣同士2名に質問の機会を与えたのだろう。

 2番目に指名された女性は昨年、私の左後方におり、私たちの発言に口汚ないヤジを飛ばし続け、そのうえ最後の指名者として脱原発参加者への罵詈雑言を大声でわめいた人物。昨年はヤジとそぐわないブルーの花柄のワンピースだったが、今回はサーモンピンクのワンピースで、養殖のサーモンが危険な餌で育てられ人間に害を引き起こしていることを連想してしまった。彼女は会長の正面、マイクの後ろに陣取り、私たちの趣旨説明の間中、ブツブツと低い声で発言者をDisっていたが、マイク係は注意しなかった。

 指名された質問者15名のうち脱原発の発言者はたった5名。そのうち提案株主は2名しか発言できず。この傾向は毎年なので、この点について作戦が必要なことを痛感した。

 原発推進の発言者に共通なのは、放射能で死んだ人は一人もいない。除染は必要ない。朝日新聞「吉田調書」はデマである。菅直人が首相だったから原発事故は拡大した。など。同じ原稿を数人で持ち、指名されたら読み上げるという方法のようで、これは昨年と同じ手法。以前、私たちもこの手法を使ったことがある。

 ただ、私たちは質問をいくつか作り、自分で肉付けして発言するようにしていたが、緊張を強いられる場所では、読み上げられるよう文章を作成しておいた方がよいかもしれないと感じた。もちろん、既に他の方が読んだ質問を読まないことは当然である。彼らは原発の知識はもちろん、新聞も読んではいないと見えて、自分の言葉で語ることができない。肉付けができないので底の浅さが直ぐに露呈してしまう。自信のなさを大声で叫ぶことで隠そうとしているのだと、今回静かに聞いていて理解した。

 數土会長、廣瀬社長は、原発推進の意見が出る度に「心強いご意見ありがとうございます」と何度も繰り返した。更に私たちへの質問にはまともに答えず、関係ない話を延々と繰り返したりするのに、質問なのか意見なのかも判然としない彼らの発言には、「こういうことでよろしいでしょうか?」などと論点を整理してやり、担当取締役の回答が終わると「この回答でよろしいでしょうか?」とまでへり下る始末。

 ヘイトスピーチが規制されたため、外での活動ができなくなった右翼団体。新手の総会屋としてデビューした彼らを東電は諸手を挙げて受け入れていいのか! 數土会長、廣瀬社長の態度は取締役会で問題にならないのか? 今年も総会反省会(正式名称「東電を反省させる会」)を共同開催し、その点を重点的にただしたいと思っている。

 更に来年の株主総会には、万難を排して多くの脱原発株主に参加していただきたいと切に願っています。(K)
*脱原発・東電株主運動ニュースNo.258(2016年7月10日発行)より。
私たちの株主提案の趣旨説明
議案内容については、以下をご参照ください。
東京電力第92回定時株主総会 共同株主提案議案
*議案の番号が2つずれているのでご注意ください。
 第1号議案 → 第3号議案

第3号議案 原子力発電からの完全撤退
 株主番号***番。第1号議案、定款の一部を変更し「原子力発電からの完全撤退」を実現する議案の補足説明を行います。開催ご通知14ページをご覧下さい。
 東日本太平洋沖地震により、福島第一原発事故を引き起こした我が社は、今後長期間の損害賠償の責任を負うこととなりました。
 将来にわたって巨額の負債を抱え、経営を圧迫し続けます。
 言うまでもないことですが、与えた損害、もちろん命や健康や財産に対するものだけでなく、将来にわたる不安、健康被害全般についても賠償の義務があります。そのことを会社の所有者である私たち株主も肝に銘じる必要があります。
 忘れてはならないのは、原発震災を引き起こした責任は、ここにいる株主をも含む、東京電力を所有し、あるいは経営方針を承認し、結果として原発震災を止められなかった株主全員に、あります。
 その結果、福島県をはじめとして、宮城県、群馬県、栃木県、千葉県、東京都などで一千万人の人々の生活を破壊し、生産を脅かし、命を奪ってきたことを考えるならば、そしていま、日本各地で火山活動や断層運動が活発化し、大きな自然災害に直面しつつある現実に思いいたせば、原子力に頼り続けることに、どんな正当性があるというのでしょう。そのようなものはありません。
 いま続いている地殻変動は、は戦国末期から江戸時代の初期にかけての「慶長年間」前後の状況に似てきており、この時も新潟に大きな被害をもたらす高田付近の大地震が発生しています。
 箱根の大涌谷で火山活動が活性化し、連休中に新潟焼山(にいがたやけやま)が小規模噴火したことは、フォッサマグナ・糸魚川静岡構造線の影響かも知れません。
 2007年7月の中越沖地震では、柏崎刈羽原発に大きな被害が生じ、3号機の変圧器が地盤沈下のために壊れて火災が発生しました。
 当然、外部電源は失われました。メルトダウンは免れましたが、冷温停止が翌日までかかり電源設備の破壊がもっと起きていたらメルトダウンもあったと思います。地面も激しく破損し、構内では車の通行に大きな支障がでました。
 福島第一原発事故の教訓に学ぶのならば、即刻、原発の廃止です。
 株主の皆様に訴えます。二度と原発事故を起こしてはならないのです。
 次の原発震災では、取締役だけでなく、会社の所有者である株主にも重い責任が問われます。
 どうか、皆様の賛同をどうぞよろしくお願いいたします。

第4号議案 原子力発電所の再稼働
 株主番号***番。○○と申します。第4号議案の趣旨説明をします。原発から170キロ圏内の自治体すべてで、実効性のある避難計画が策定されるまで再稼働はしないという議案です。
 原子力規制委員会が福島事故後に新たに定めた原子力災害対策指針では、防災計画を定める範囲が30キロ圏に拡大されました。しかし、防災計画の策定は各自治体に任されています。しかも避難計画の実効性は規制委員会の審査の対象外で、再稼働の要件に含まれていないのです。こんなことで大丈夫なのでしょうか。
 福島原発事故の大きな被害はご存知のとおりですが、それでも最悪の事故ではありませんでした。
 最悪の事故では、事故の収束が不可能となり作業員は全面撤退、原発サイトは放棄されます。原子炉は冷却が続けられなくなり爆発、炉内の核燃料だけでなく、冷却プール内の使用済核燃料も露出し、放射能は全量放出されます。
 福島では、免震重要棟があったことと、もう一つ、ある幸運のおかげでかろうじて最悪事故をまぬかれました。
 免震重要棟は、2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発の被害を受けて、泉田新潟県知事が強く求めて設置されたものです。福島原発でも2010年7月、事故のわずか半年前に完成しました。
 もし免震重要棟がなかったらどうなっていたか。事故当時の清水社長は「あれがなかったら、と思うとぞっとする」と国会事故調査委員会で証言しています。
 もう一つは、4号機で水素爆発が起きましたが、それでも燃料プールの冷却が続いたことです。これは、工事のため普段は水のないところにたまたま水を張っていて、それが爆発により隣の燃料プールに流れ込んだからです。奇跡のような幸運でした。
 もしこのような幸運がなければ、福島は最悪の事故になっていました。最悪の事故とは、事故直後に近藤駿介原子力委員長が作成した「最悪シナリオ」です。
 そこには驚くべきことに「170キロ圏内強制移住」、「250キロ内避難」と書かれていました。30キロ圏どころではありません。東京も避難しなければならなかったのです。
 我が社が再稼働しようとしている柏崎刈羽原発は、総出力が世界最大の約800万キロワット。サイト内の全放射能量はおよそ3570京ベクレルにもなります。これは福島事故での放出量の約40倍です。ちなみに京は兆の1万倍です。
 百歩譲っても、この近藤試算程度は想定したうえで、170キロ圏内の自治体で実効性のある避難計画が策定されるまでは、原発を再稼働すべきではありません。以上です。

第5号議案 柏崎刈羽原発の分社化
 株主番号***番。新潟県津南町に住む○○と申します。第5号議案の提案をします。
 我が社は、新潟市に新潟本社なるものを設置し、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた世論づくりに血道を上げています。しかしそれは大多数の新潟県民に大きな違和感を抱かせるものでしかありません。
 フクシマでの凍土壁の失敗。行方知れずの600トンものデブリ。高汚染地域への帰還の推奨。補償の打ち切り。復活できない農林業。全国各地での地震の多発。火山噴火など、どれをとっても私たち新潟県民にとっては不安材料で満ちています。そのどれひとつとして我が社は解決策を提示できていないのです。
 私たちは今年、県内の土壌検査をしました。福島原発から204キロ離れた十日町市でも土壌汚染は100ベクレル/kgを超えました。南魚沼市では400ベクレル/kgを超えたところさえありました。
 また、私たちは昨年から4度、柏崎刈羽から風船を上げ、放射能の拡散予想をしました。
 昨年秋には、210キロ離れた宮城県亘理町から風船を拾ったとの返事が来ました。太平洋沿岸まで飛んだのです。冬には、福島市女形というところで、除染作業中の方から、空から落ちてきたと報告をいただいたのは、なんと風船を上げてからたった3時間後のことでした。それは柏崎刈羽原発から170キロの地点でした。上空の気流は時速60キロで流れていたのです。
 30キロの円形に作られた避難計画など、絵に描いた餅に過ぎません。また、放射能放出から拡散までの時間は、計画よりはるかに短いのです。
 そうした相違点や、今後の原発のあり方について、私たちは、地元に設置された責任と決定権を持つ会社と膝をつき合わせて議論したいのです。そこから新しい関係ができるものと期待しています。5号議案へのご賛同をよろしくお願い申し上げます。

第6号議案 汚染水の海洋放出の禁止
 入場票番号***、グリーンピース・ジャパンと申します。第6号議案、汚染水の海洋放出の禁止についてご説明します。
 我が社は放射能汚染水について「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」という3つの基本方針をもっているが、どれも効果をだせていません。
 トリチウムは、水素と似た性質をもち、活発に環境中を移動・循環し、人体にたやすく取り込まれます。トリチウムは、細胞に取り込まれ、核の中に入るとそこから遺伝子を攻撃、故障させます。
 我が社の取締役会は、トリチウム水の取り扱いについて、今後関係者のみなさまと協議した上で決定すると回答しています。
 福島第一原発で保管中のトリチウムの濃度は高く、量も膨大です。トリチウムを含む処理水の海洋放出について、我が社の発電所における事故で甚大な被害を被った漁業者からは「放出は沿岸漁業の生命を断つ」行為であり「風評ではなく実害になる」との声が上がっています。
 カナダ、インドなどで世界中の核施設周辺での白血病やガンといった疾病にトリチウムが関与している可能性が指摘されています。取締役のみなさま、我が社がトリチウム水を環境に放出すれば、さらなる国内・海外での社会的反発や訴訟リスクも大いに考えられ、株主として非常に憂慮いたします。
 よって、トリチウムを含む処理水の海洋放出・上記での大気放出を含み、環境への放出はせず、保管は漏洩リスクの比較的低い溶接型タンクへの移送を速やかに行い、その間に、トリチウムを分離する方法の検討を進めることが我が社の取るべき道だと考えます。以上です。

第7号議案 石炭火力発電所建設の中止
 株主番号***番。第7号議案、石炭火力発電所建設の中止の趣旨説明をします。
 我が社は現在、福島県の広野といわきに石炭ガス化複合発電IGCCを建設する計画があり、そのほか常陸那珂に65万kW、横須賀に100万kWの石炭火力発電所建設計画があります。また、福島県相馬市でも100万kWの新規石炭火力発電所の計画があると報道されています。
 石炭火力発電所は周辺環境への大気汚染を引き起こすだけでなく、CO2の排出量が天然ガスの約2倍で、地球環境への甚大な影響をおよぼすことから、これらの計画を中止することを提案します。
 昨年12月、気候変動の国際交渉において、世界のほぼすべての国が参加する枠組みとして「パリ協定」が合意されました。「パリ協定」では、地球の気温上昇を1.5~2℃未満にとどめることを目標とし、今世紀下半期にはCO2排出を実質ゼロにすることが要請されています。
 石炭火力発電はIGCCのようにいわゆる「高効率」であっても、天然ガスの約2倍のCO2を排出します。2020年以降の稼働に向けて今から建設すれば、その後40年間はCO2の排出を固定化することになり、「パリ協定」の合意から大きく逸脱することになります。
 米国では石炭火力発電所の新規建設が事実上できない政策がとられ、イギリスでも2025年までに既存の火力発電所を撤廃すると宣言されています。欧米諸国を中心に金融機関の石炭産業からの投資撤退の動きがあるため、巨大石炭産業が次々と破綻する事態が起きています。こうした状況を無視して、今から石炭火力発電所の建設を進めることは、将来株主にも大きな不利益をもたらすでしょう。
 今年2月、電力業界が「電気事業低炭素社会協議会」を発足させ、その目標として掲げたCO2の排出係数は、2030年にキロワット時あたり0.37キログラムというものでした。これも石炭火力発電を稼働すれば目標値を大幅に超え、目標達成のために原発を同時に動かすか、海外からの排出権の購入が不可欠となり、結果コストアップにつながります。長期的な視野をもって、今後の電源は再生可能エネルギーへとシフトすべきです。以上です。

第8号議案 役員・社員の廃炉作業への従事
 株主番号***番、○○です。第8号議案役員・社員の廃炉作業への従事についての議案趣旨説明です。
 福島第一原発の収束作業現場は、給食センターや大型休憩所などの設置で、器の環境はよくなりつつあるようです。
 しかし作業員宿舎のおおかたは、数人の相部屋、いわばタコ部屋同然、一般の被災者が暮らす仮設住宅同様、プライバシーが無いそうです。
 昨年は4名もの作業員が作業中もしくは勤務中に亡くなりました。この2月の凍土遮水壁工事では年間の被ばく線量の上限を超える被ばくがありました。事故後5年経ちましたが、このような重大な事故以外にも、東電と請負会社間の些細な連絡ミスによる事故や被ばく線量管理の杜撰さで、高い線量の被ばく者が多く出ています。
 5月の伊勢志摩サミット開催中の3日間、作業が中止されました。ある報道によれば、この間の報酬は、我が社の広報部の返事として「数カ月前から作業休止は告知しており、特別に支給する予定はない」とあります。作業中止は「国の要請ではない。リスクを減らすため」という理由です。しかし、国の要請だ、という記事もあります。ともあれ、作業は予定より大幅に遅れており、作業員は無給でも待機してくださっていました。
 国は2011年12月16日の「収束宣言」までの間の緊急作業従事者、約2万人を「国の責任において生涯、長期的な健康管理に取り組む」とし、国の予算で健康管理や保健指導を実施するとしています。我が社、東電では在職中の健診は当然ありますが、職を離れたあとの補償はまったくない。
 私たち脱原発・東電株主運動では3年前も、この生涯にわたる健康管理を要求していますが、一向にその取り組みが見られません。今後ますます高い放射線の作業を強いられる作業員が長い年月継続して従事することは法律上も、まずありえません。このままでは、彼らは使い捨てではありませんか。作業員不足は今後も続きます。
 廃炉作業を体験できるバーチャルリアリティーシステムが最近開発されました。収束作業に高度な技術力が要求されるなら、我が社の社員は入社の時からこのシステムで十分な訓練を行い、45歳以上の社員は、最低2年間、実際の収束作業に就くべきです。この議案に皆様の賛同を強くお願いいたします。以上です。

第9号議案 出資、債務保証の停止
株主番号***番。○○と申します。第9号議案の趣旨説明をします。株式会社として、我が社の経営改善をするための議案です。
 電力会社は、エネルギーを安全・安心に供給することが、社会的使命です。と同時に、株式会社であるからには、経営効率や利潤追求もとても重要です。投資に値する企業として厳しい経営判断が求められます。
 ところが、我が社は10兆円もの税金投入を受け、生きながらえている実質破綻企業です。少しでも無駄な出費を抑えなければいけないのです。よって、日本原燃株式会社・日本原子力発電株式会社という将来性のないこの二社への出資・債務保証を続けるべきではありません。
 そもそも、日本原燃は、使用済核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを再利用する核燃料サイクルを進めるために作られた国策会社であり、我が社はなんと!筆頭株主なのです。しかし、その要である六カ所再処理工場は着工から22年経ち2兆円以上かけても完成せず、トラブル続きで操業を22回も延期し、本格稼働の目途は全く立っていないのです。
 もう一つの要、高速増殖炉もんじゅも1兆1700億円を注ぎ込みながらも止まったままです。その杜撰な運営により、規制委員会から運営主体の交代さえ求められています。有識者検討会も具体的な運営主体を示せないまま、報告書を提出しているのが、現状です。核燃料サイクルは破綻しているのです。
 また、日本原子力発電は電力9社などが出資する卸売り電力事業者であり、ここでも同様に我が社は筆頭株主なのです。
 ところが、発電施設は東海第二と敦賀の2カ所の原発だけで、福島原発事故以降全て止まっており、全く発電していません。それなのに、我が社などは契約に基づき、電気を受け取っていないのに2014年度で1300億円、2015年度で1126億円を支払っているのです。おかしくないでしょうか? 税金10兆円のおかげでながらえている我が社が! 全く無駄な出費です。
 改めて、国民の税金のおかげで存立していることを胆に銘じて、適切な経営判断をすべきなのです。
 この議案に多くのご賛同をいただきたい!!以上です。

第10号議案 取締役の報酬の減額
 株主番号***、○○です。取締役の報酬の減額について説明いたします。
 今年5月30日の記者会見で、姉川原子力・立地本部長は「炉心溶融に決まっているのに『溶融』という言葉を使わないのは隠蔽だと思う」と述べ、東電の説明が不適切だったと発言しました。社内には5%の損傷で炉心溶融という判定マニュアルがあるにもかかわらず、5年も経ってから認めるというお粗末さでした。
 私たち脱原発・東電株主運動が株主提案を始めたきっかけは、1989年の福島第二原発3号機の回転盤脱落事故でした。警報機が鳴り響いても運転を止めなかった大事故を、我が社は「事象」だと言い続けました。そしてとうとう世界を震撼させる過酷事故を起こしたのです。その後も、事故の損傷を小出しにするなど小さく見せようとする体質は一向に変わりません。
 我が社の社内風土に隠蔽体質が横たわっているのは、取締役の皆さんが「隠蔽」を社員に強要しているからです。日々の発言や通達の中で社員が自由に発言できない雰囲気を作っているからです。この会場におられる下請けや関連会社の方々はよくお分かりと思います。
 みなさまご存知のように、今年2月には、元取締役・勝俣、武藤、武黒の3名が強制起訴され、原発震災の責任を裁かれることになります。
 また賠償請求の裁判が日本各地だけでなく、トモダチ作戦として空母から福島救援に当たったアメリカ海兵隊400名も訴訟に立ち上がっています。小泉元首相も先日アメリカで海兵隊員に会い、福島に水を全て提供したため彼らは海水をろ過して飲んでいたことを知り、彼らのこどもにまで影響が出ていることに涙しました。アメリカでの訴訟の賠償金は天文学的な数字になるでしょう。
 現在係争中の裁判も続々と結審を迎えます。この膨大な賠償金と裁判費用は一体誰が負担するのでしょうか? 国費を10兆円も注ぎ込まれている我が社がこれ以上、国民の税金をアテにすることは同義的にも許されません。今なお原発を推進する取締役の報酬の半額を積み立て、訴訟の賠償金に充てる提案にご賛同ください。以上。

第11号議案 議決権行使書による意思表示
 株主番号***です。これは株主総会における『議決権行使書』の取り扱いについての提案です。
 東電の株主総会において現在、各議案に関する株主の意思表明は、この場に出席して会議進行に応じて挙手する方法の他には、『議決権行使書』またはインターネットにて意思表明する方法があります。この際、注意しなければならないのは賛否の意思表示がない場合は、「会社提案に“賛成”、株主提案については“反対”」と自動的に解釈されてしまうことです。
 一般的な選挙であればこのような意志表示のないものは『白票』というわけですが、白票は投票する気はあっても誰も選びたくないという意思表明でもあるので、どの候補の得票にもカウントされることはありません。“未記入”はあくまでも意思表示がないのであり、それ以外のナニモノでもありません。
 なお、同じ電力会社でありながら、今年の四国電力は「議決権行使のお願いと行使にあたってのご注意」という別刷りの注意喚起書が同封されています。そこには記入例として、会社提案に「賛成する」例だけではなく、「反対する」例も示しています。
 我が社も賛否についての注意書きはあるものの「見てくれるな」といわんばかりのセコい記載です。せっかく入れるなら太文字や赤文字などでで目立つ表示をして、株主がより積極的に経営に参画できるような工夫をしたらいかがでしょうか?
 さて、今日ここに出席している株主のほとんどは、この場で一つ一つの議事に意思表明するために集まっておりますが、この場で株主の意思がちゃんとカウントされる風景を見たことがありません。利潤追求が目的の私企業に、"民主的”な会議営を望むことは所詮、無理なのでしょうか?
 ですが近年、企業は社会の信頼に誠実に応えることがむしろ事業展開に必要不可欠であると考えられるようになってきています。ましてや現在、多額の公的資金を投入されて実質『国営企業』の東電の経営のことですから、『国民投票』に図ってもいいくらいではありませんか? 少なくともここに集まっている株主の意見を丁寧に掬い上げるくらいは最低限の責務ではないでしょうか。以上です。


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